研究のタイプ: 医学/生物学の研究 (experimental study)

[ラットの血漿脂質過酸化レベル及び抗酸化活性に対する50Hz電界の影響] med./bio.

Effects of a 50 Hz electric field on plasma lipid peroxide level and antioxidant activity in rats

掲載誌: Bioelectromagnetics 2005; 26 (7): 589-594

本研究は、超低周波電界(ELF EFs)がSDラット血漿脂質過酸化値と抗酸化活性(AOA)に及ぼす影響を調査した。酸化剤の合成物、2, 2’アゾビス(2-アミノプロパン)二塩酸塩(AAPH)を投与され、17.5kV/m強度の50HzEFに7日間(15分/日)ばく露されたラット、AAHP投与のみのラット、EFばく露のみのラット、何もされないラットでの比較を基に調査を行った。AAPH投与のラットではEFによって血漿脂質過酸化値が著しく低下し、アスコルビン酸スーパーオキシドジスムターゼ投与の場合と同様だった。アスコルビン酸はADAを増加させたが、EFとスーパーオキシドジスムターゼは、酸化ストレスを加えられたラットでの偽ばく露の場合と比較してAOAを変化させなかった。酸化ストレス無しのラットでは、EFばく露のみの場合、血漿脂質過酸化値とAOAに影響は見られなかった。AAPHの投与はAOAを減少させたが、EFばく露がこれに加わった場合、この減少は変化しなかった。これらの結果は、この研究で使用されたELF EFが酸化ストレスを加えられたラットにおける過酸化脂質値に影響を与えることを示している。

研究目的(著者による)

ラットにおける血漿脂質過酸化レベル及び抗酸化活性に対する超低周波電界へのばく露の影響を調べること。

詳細情報

ラット酸化剤AAPH(2,2'-アゾビス(2-アミノプロパン)二塩酸塩、10mg/kg)及び強度17.5kV/mの50Hz電界の組合せで処理し、これをAAPH単独、電界単独、または非処理と比較した。別のグループのラットを、AAPH投与前に抗酸化アスコルビン酸(500mg/kg)またはスーパーオキシドジスムターゼ(50mg/kg)で処理した。

影響評価項目

ばく露

ばく露 パラメータ
ばく露1: 50 Hz
ばく露時間: 15 min, once or repeated daily for 7 days

ばく露1

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • electric field
波形
  • sinusoidal
ばく露時間 15 min, once or repeated daily for 7 days
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
  • electric field (EF) exposure cages, see chamber details
チャンバの詳細 The EF exposure system is composed of three major parts: a high voltage transformer, a constant voltage unit, and EF exposure cages, which have been described in the reference article. Briefly, the exposure cage is composed of a cylindrical plastic cage (diameter: 400 mm, height: 400 mm) with two electrodes made of stainless steel (1200 x 1200 mm) placed over and under the cylindrical cage. Four device sets were used: two sets for exposure and another two for sham exposure. In the two device sets for sham exposure, a pair of electrodes was connected with wire to generate sham EF (0 V/m) and a switch was turned off during EF session.
ばく露装置の詳細 Each exposure cage housed one rat during each session in order to avoid an imbalance of EF induced by housing two or more rats at the same time. Each rat in five groups (n = 5) was individually treated with an EF or a sham EF for 1 day or 7 days, or was not treated for 7 days.
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
電界強度 17.5 kV/m effective value 測定値および計算値 - -

Reference articles

  • Harakawa S et al. (2004): [ストレスを受けたラットの血漿ACTH、グルコース、乳酸、ピルビン酸レベルへの50 Hz電界の影響]

ばく露を受けた生物:

方法 影響評価項目/測定パラメータ/方法

研究対象とした生物試料:
調査の時期:
  • ばく露後

研究の主なアウトカム(著者による)

電界はAAPH処理したラット脂質過酸化レベルを有意に低下させた。これはアスコルビン酸またはスーパーオキシドジスムターゼによる処理と同様であった。この知見は、脂質過酸化代謝における超低周波電界ばく露の関与を示しているかも知れない。

アスコルビン酸は抗酸化活性を上昇させた。但し、電界またはスーパーオキシドジスムターゼは偽ばく露と比較して、ストレスを与えたラットにおける抗酸化活性を変化させなかった。AAPH投与は抗酸化活性を低下させたが、この低下は電界を加えても変化しなかった。

ストレスを与えなかったラットにおける脂質過酸化レベル及び抗酸化活性に対する、電界ばく露単独での影響力は認められなかった。

これらの結果は、超低周波電界酸化ストレスを与えたラットにおける脂質過酸化レベルに影響力を及ぼしたことを示している。

研究の種別:

研究助成

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