この研究は、この著者らによる先行研究で認められた、アルツハイマー病(AD)ラットに対する超低周波(ELF)磁界ばく露の陽性の影響には、RKIPを介したNF-κBシグナル伝達経路が関与しているという仮説を検証するため、D-ガラクトースの腹腔内注射(50 mg/kg/日、42日間)及びAβ25-35の海馬注射(5 μL/単回、二回、単用量)によって確立したADラットモデルに対し、50 Hz、400 µTのELF磁界に連続する60日間ばく露した後、モリス水迷路で空間記憶能力を検査した。また、タンパク質発現及び相互作用をウェスタンブロット及び共免疫沈降でRKIPを介したNF-κBシグナル伝達経路について調べた。その結果、ELF磁界ばく露はADラットの認知障害を部分的に寛解し、RKIP、TAL1及びRKIP/TAK1相互作用のレベルを上方制御したが、p-IKKレベルを下方制御した。これらの結果は、ELF磁界ばく露を介したADラットの寛解には、RKIPを介したNF-κBシグナル伝達経路が重要な役割を担っていることを示すものである、と著者らは結論付けている。また、ELF磁界ばく露にはADに対する潜在的な治療価値があるかも知れない、と示唆している。
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