研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[電磁ばく露下の心臓血管系リスク] epidem.

Cardiovascular risk under electromagnetic exposure

掲載誌: Environmentalist 2007; 27 (4): 539-543

本研究は、電磁波放射線(EMR)の長期ばく露理学療法の医療スタッフの心臓血管系に及ぼす影響を評価する目的で行われた。52人のばく露被験者(男性4人、女性48人、47.3±8.7歳)と、同様の職業特性でEMRばく露がなく、性別、年齢が適合する52人の対照群において調査が行われた。50Hz、150kHz、27.12MHz、2.45GHzで放射する機器からのEMRばく露光学放射からのEMRばく露が調査された。各理学療法の全周波数帯域でのEMR相対的価値が計算され、割当数量は1よりかなり大きかった。仕事量と心理社会的要因も評価された。心臓血管系リスク要因動脈圧、脂質状態、肥満度指数、ウエスト・ヒップ比、喫煙、飲酒、栄養、心臓血管系疾患の家族歴が調べられた。高血圧の発生は調査された理学療法士では中程度だった(26.9%対23.8%対照群)。総コレステロール(TC)と低比重リポタンパクコレステロール(LDL-C)はばく露群ではかなり高かった。オッズ比は、EMRばく露被験者では、脂質異常症になる高い可能性を示した[TC OR(95%CI)=1.570(1.048~2.351)、LDL-C OR(95%CI)=1.840(1.158~2.924)]。結論として、今回のデータでは、理学療法の医療スタッフのEMRばく露心臓血管系に悪影響をもたらす可能性があることが示された。

研究の目的(著者による)

理学療法における医療スタッフの心臓血管系に対する電磁界の長期的な影響を調査するため、ブルガリアにおいて症例対照研究を実施した。

詳細情報

理学療法機器からの電磁界ばく露(50Hz、150kHz、27.12MHz、2.45GHz及び光放射)を評価した。各々の理学療法における全周波数範囲に対する電磁放射の相対値を計算し、得られた割当量は参考地と比較して1よりも相当大きかった。電磁界ばく露は、理学療法機器の数、機器当たり/一人当たりでの計算値、患者の数、病棟の実際の構成に基づいて、個々に評価した。

影響評価項目/リスク推定のタイプ

ばく露

ばく露評価

ばく露集団

グループ 説明
参照集団 1 電界ばく露のないスタッフ
集団 2 電磁界放射機器を使って作業する理学療法士

調査対象集団

症例集団

対照集団

調査規模

症例 対照
適格者 52 52
統計学的分析方法:

結論(著者による)

ばく露群では非ばく露群と比較して、総コレステロール(TC)、高密度リポタンパクコレステロール(HDL-C)、低密度リポタンパクコレステロール(LDL-C)のレベルが有意に上昇した。血圧または肥満度指数に有意差は認められなかった。データは、電磁界放射する機器を用いる理学療法士では脂質異常症を発症するリスクがより高いことを示した。著者らは、理学療法における医療スタッフの電磁界ばく露心臓血管系への悪影響と関連しているかも知れない、と結論付けた。

研究助成

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