研究のタイプ: 医学/生物学の研究 (experimental study)

[回転磁界に反復的に短時間ばく露した後のHL-60およびK-562細胞でのヌクレオリンの発現および核内分布] med./bio.

The expression and intranuclear distribution of nucleolin in HL-60 and K-562 cells after repeated, short-term exposition to rotating magnetic fields

掲載誌: Int J Radiat Biol 2008; 84 (9): 752-760

この研究は、HL-60(ヒト急性前骨髄球性白血病細胞)およびK-562(ヒト慢性骨髄性白血病細胞)において、リボソーム生合成に関与するタンパク質であるヌクレオリン発現と核内分布に対する回転磁界(RMF)の影響を分析した。細胞は、2通りの条件のRMF(35 Hz、10 mT;50 Hz、20 mT)のいずれかに、1日30分、24時間間隔で4日間、ばく露を受けた。サイトスピンスライドを調製し、ヌクレオリン発現を、モノクローナル抗体を用いて検出した。ヌクレオリンに関連する蛍光パラメータを、アルゴンレーザを備えたレーザースキャンサイトメータによって、各スライドにおいて少なくとも2000個の腫瘍細胞で測定した。細胞周期の異なる段階にある細胞のパーセンテージも分析した。その結果、RMFへの反復的ばく露により、核全体およびヌクレオリン凝集体(NUA)におけるヌクレオリン発現が有意に増加した;NUAの数の変化によって測定されたヌクレオリンの再分布も観察された;実験に用いた2種の細胞株において、RMFばく露により細胞周期は変化しなかった、と報告している。

研究目的(著者による)

2つのヒト細胞株におけるヌクレオリン(例えばリボゾームの生合成に関与するタンパク質)の発現及び核内分布に対する回転磁界の影響力を調べること。

影響評価項目

ばく露

ばく露 パラメータ
ばく露1: 35 Hz
ばく露時間: 30 min with an interval of 24 h on 4 days
ばく露2: 50 Hz
ばく露時間: 30 min with an interval of 24 h on 4 days

ばく露1

主たる特性
周波数 35 Hz
タイプ
  • magnetic field
ばく露時間 30 min with an interval of 24 h on 4 days
Additional information rotating field
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
  • generator made of the stator of a 3-phase induction squirrel-cage motor
ばく露装置の詳細 water-filled glass container with the cultur flasks placed inside the stator
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 10 mT mean 計算値 - -

ばく露2

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • magnetic field
ばく露時間 30 min with an interval of 24 h on 4 days
Additional information rotating field
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
  • E1と同じ装置
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 20 mT mean 計算値 - -

Reference articles

ばく露を受けた生物:

方法 影響評価項目/測定パラメータ/方法

研究対象とした生物試料:
調査の時期:
  • ばく露後

研究の主なアウトカム(著者による)

どちらの細胞株でも、回転磁界への反復的な短期ばく露は、核全体及びヌクレオリン集合体におけるヌクレオリン発現有意な増加を生じた。この影響は、K-562細胞では周波数依存的のようであったが、HL-60細胞でのヌクレオリン発現は、より低い周波数でより増加した。どちらの細胞株でも、ばく露後の細胞周期有意な変化は認められなかった。このことは、回転磁界によるヌクレオリン発現の変化は細胞周期とは関連しないことを示している。

結論として、HL-60及びK-562においてヌクレオリンは回転磁界に反応する。その発現の増加は、回転磁界への細胞の応答を示しているかも知れず、他の生物学的特性に影響を及ぼし得るかも知れない。

研究の種別:

研究助成

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