研究のタイプ: 医学/生物学の研究 (experimental study)

[ラットにおける短期的及び長期的な50Hz電磁界ばく露のストレス関連の内分泌及び心理生理学的影響] med./bio.

Stress-related endocrinological and psychopathological effects of short- and long-term 50Hz electromagnetic field exposure in rats.

掲載誌: Brain Res Bull 2010; 81 (1): 92-99

この研究は、ラットを用いた実験で、50 Hz電磁界(ELF-EMFばく露の長期的影響を、特に慢性ストレスおよびストレス誘発精神病態発症に焦点を当てて調べた。成獣のオスのSprague-Dawleyラットに、ELF-EMF(50 Hz、0.5 mT)の短期ばく露(5日間、毎日8時間)または長期ばく露(4 - 6週間、毎日24時間)を与えた。不安高架式十字迷路試験で、長期ばく露群での抑うつ行動強制水泳試験で検査した。行動検査の数日後、動物を安静状態で断頭し、臓器重量、血中ホルモンレベル、ならびに下垂体前葉からのプロオピオメラノコルチンmRNAレベルを測定した。その結果、どちらのばく露も体細胞パラメータへの影響は与えなかった;つまり、慢性ストレスに特徴的な変化(体重減少、胸腺退縮、副腎肥大)は何一つ現れなかった;ELF-EMFへの長期ばく露後に血糖値の有意な上昇が見られた;ホルモンストレス反応は、対照群と短期ばく露群で同等であったが、長期ばく露群では、プロオピオメラノコルチンの有意な上昇および抑うつ行動(浮遊時間の有意な増加)が見られた;総括すると、比較的高強度の電磁界への長期の連続的ばく露は軽度のストレス状況とみなせるかも知れず、抑うつ状態または代謝障害の発症の一つの要因となる可能性がある、と報告している。

研究目的(著者による)

慢性的なストレス状態の進行と関連した、ラット不安及び抑うつ関連の行動に対する、50Hz電磁界への短期的及び長期的な影響を調べること。

詳細情報

成獣の雄ラット(32匹、各群8匹(ばく露群2、偽ばく露群2))を超低周波電磁界(50Hz、0.5mT)に8時間/日、5日間(短期)または24時間/日、4-6週間(長期)ばく露した。

影響評価項目

ばく露

ばく露 パラメータ
ばく露1: 50 Hz
ばく露時間: continuous for 8 hr/day on 5 days
ばく露2: 50 Hz
ばく露時間: continuous for 24 hr/day during 6 weeks

ばく露1

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • electric field
  • magnetic field
波形
  • sinusoidal
ばく露時間 continuous for 8 hr/day on 5 days
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
ばく露装置の詳細 Two Helmholtz coils with a radius of 21 cm and 240 turns of 1.4 mm glaze-insulated copper wire, 21 cm apart; 35 cm x 35 cm x 17 cm plastic box with the rats placed between the coils
Sham exposure A sham exposure was conducted.
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
電界強度 525 V/m minimum 測定値 - -
電界強度 575 V/m maximum 測定値 - -
磁束密度 0.5 mT - 測定値 - +/- 0.025 mT

ばく露2

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • electric field
  • magnetic field
波形
  • sinusoidal
ばく露時間 continuous for 24 hr/day during 6 weeks
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
  • E1と同じ装置
Sham exposure A sham exposure was conducted.
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
電界強度 525 V/m minimum 測定値 - -
電界強度 575 V/m maximum 測定値 - -
磁束密度 0.5 mT - 測定値 - +/- 0.025 mT

ばく露を受けた生物:

方法 影響評価項目/測定パラメータ/方法

研究対象とした生物試料:
研究対象とした臓器系:
調査の時期:
  • ばく露前
  • ばく露中
  • ばく露後

研究の主なアウトカム(著者による)

どちらのばく露条件も、体細胞のパラメータに影響しなかった。つまり、慢性的なストレスに対する特徴の変化(体重減少、胸腺退縮及び副腎肥大)はなかった。

このデータは、短期的な、反復的な超低周波電磁界は、ラットで調べたパラメータに関する慢性的なストレスの兆候、または不安行動症状を生じなかった。

連続的な長期ばく露後、グルコース血液レベルの上昇、下垂体前葉でのPOMC mRNAレベルの上昇、抑うつ行動に対する感受性の増強が検出された。

結論として、比較的高い強度の電磁界(ヒトのばく露平均的な強度は通常、今回の実験の強度よりも遥かに低い)への長期的、連続的なばく露は、穏やかなストレス刺激としてカウントされるかも知れず、抑うつ状態の進行または代謝障害の一要因となり得る。

研究の種別:

研究助成

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