研究のタイプ: 医学/生物学の研究 (experimental study)

[高強度電界下でのインゲンマメおよびヤセイカンランの耐寒性] med./bio.

Chilling resistance of Phaseolus vulgaris and Brassica oleracea under a high-intensity electric field

掲載誌: Z Naturforsch C 2010; 65 (5-6): 380-386

この研究は、電界、低温、およびそれらの組み合わせが、インゲンマメ(Phaseolus vulgaris)およびキャベツ(Brassica oleracea)の葉の抗酸化反応に関係する組織活力および生理学的変数に与える影響を調べた。15日齢の実生に、低温処理の前に、10または40分間の電界印加を行った(100 kV/ m)。その結果、低温処理単独では、両方の植物の葉において、総可溶性タンパク質レベルおよび抗酸化酵素カタラーゼペルオキシダーゼおよびスーパーオキシドジスムターゼ)の活性を有意に増加させた;ただし、キャベツでは組織活力およびH2O2レベルは変化せず、インゲンマメでは組織活力の低下、H2O2レベルの上昇が生じた;電界単独の処理では、両方の葉に大きな変化は生じなかった;低温処理の前に40分の電界印加を行った場合、両方の葉において、低温の悪影響が増加した;一方、低温処理の前に10分の電界印加を行った場合、組織活力と抗酸化酵素活性を増加させ、H2O2レベルを低下させた結果として耐寒性が高まった、と報告している。

研究目的(著者による)

低温感受性のマメ及び低温耐性のケールの葉の組織の活力及び抗酸化応答に関する幾つかの生理学的変数に対する、電界、低温、及び両者の組合せの影響を調べること。

詳細情報

15日目の苗を、低温処理(日中5℃/夜間2℃)の前に電界ばく露した。電界適用後の3日目及び6日目に植物を収穫した。

影響評価項目

ばく露

ばく露 パラメータ
ばく露1: 50 Hz
ばく露時間: 10 min. or 40 min.

General information

Leaves were treated in six groups: i) control ii) 10 min. exposure iii) 40 min. exposure iv) cold treatment v) 10 min. exposure + cold treatment vi) 40 min. exposure + cold treatment

ばく露1

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • electric field
ばく露時間 10 min. or 40 min.
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
  • two parallel aluminum plates with a diameter of 50 cm and a distance of 20 cm
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
電界強度 100 kV/m - 計算値 - -

ばく露を受けた生物:

方法 影響評価項目/測定パラメータ/方法

研究対象とした生物試料:
調査の時期:
  • ばく露後

研究の主なアウトカム(著者による)

どちらの植物でも、低温適用は単独で、総タンパク質レベル及び抗酸化酵素活性に統計的に有意な上昇を生じた。但し、低温耐性のケールでは組織の活力及び過酸化水素レベルは変化しなかったが、低温感受性のマメでは組織の活力は低下し、過酸化水素レベルは上昇した。

電界適用は単独では、どちらの植物種にも有意な変化を生じなかった。他方、40分間の電界ばく露は、どちらの植物種でも低温処理の悪影響を強めたが、10分間の電界ばく露は、組織の活力及び抗酸化酵素活性を高め、結果的に過酸化水素レベルを低下させることで、冷却耐性を強めた。

著者らは、冷却処理前の非常に短時間(10分間)の電界ばく露(100kV/m)は、特に低温感受性の植物種において、抗酸化酵素活性及び組織の活力を高め、結果的に過酸化水素形成を低減することによって冷却耐性を強める、と結論付けている。

研究の種別:

研究助成

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