[静磁界内での動きによる身体内誘導電界の制限に関する生理学的およびドシメトリ的検討] tech./dosim.

Physiologic and dosimetric considerations for limiting electric fields induced in the body by movement in a static magnetic field

掲載誌: Health Phys 2011; 100 (6): 641-653

【背景】強い静磁界中で動くと身体に電界誘導され、それにより、目眩、吐き気磁気閃光、口内の金属味などの感覚を覚える可能性がある。これらの感覚の知覚は、最新の診断磁気共鳴(MR)装置の周辺にいる患者や医療スタッフで見られており、もし、例えばMRで撮像しながら医療処置を行う医師などの平衡や視覚と手の協応に影響を与えるとすれば、これらの知覚は注意を散漫にするかも知れない。さらに高い誘導電界強度では末梢神経組織刺激も理論的には起こり得るが、MR内の動きでそれが生じたという報告はない。【目的】静磁界中での身体の動きにより誘導される、ゆっくりと 時間的変動する広帯域(<10 Hz)の電界制限するための一般的なクライテリアを検討すること。【方法】静的な磁束密度と時間的変動る誘導電界強度の関係を見出すために、静磁界を、静止した身体をばく露する均一で等価な過渡磁界および正弦波磁界 へと変換した。2つのケース(非一様磁界中を移動するヒト頭部、均一磁界中で回転するヒト頭部)を検討した。種々の人体モデルを用いた文献に公表されているドシメトリの数値計算データを利用して、等価磁界磁束の時間的変化(dB/dt)から誘導電界を導出した。このような変換により、目眩、閃光、末梢神経刺激についての電界閾値(周波数の関数として)のプロットが可能になる。【結果と結論】1 Hzより上の周波数の誘導電界により生じる目眩やその他の感覚の大半のケースは、国際非電離放射線防護委員会ICNIRP)が1998年に推奨した超低周波磁界ばく露制限のための基本制限により防止されるであろうし、1 Hzより下の周波数については、最近、ICNIRPが推奨したように、静磁界を2 T以下に制限することで十分な防止となる。人が2から8 Tまでの静磁界の中を移動すると、目眩を経験するであろうが、これは、頭部および・または身体の移動の速度を下げることにより、ある程度はコントロールされるであろう。それに加えて、静磁界を8 T以下に制限することで、末梢神経刺激に対する十分な防護を提供する。

ばく露