研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[神経膠腫、ワイヤレス電話、遺伝及び電離放射線との関連について] epidem.

On the association between glioma, wireless phones, heredity and ionising radiation.

掲載誌: Pathophysiology 2012; 19 (4): 243-252

この論文は、共著であるHardellの研究グループが公表してきた無線電話(携帯電話コードレス電話)使用と神経膠腫に関する症例対照研究プール分析結果の要約、および部分的な分析の追加報告である。Hardellらは1997-2000年に診断された脳腫瘍と無線電話の症例対照研究に続き、2000-2003年に診断された症例についての同様の研究を行った。またその際に除外した死亡症例に関する症例対照研究(症例132、対照95)を行った。最終的にこれら全てのデータに関するプール分析した結果、10年以上の同側使用者における神経膠腫の統合オッズ比は2.9(95%信頼区間:1.8-4.7)、コードレス電話に限定した場合の同条件の統合オッズ比は3.8(95%信頼区間:1.8-8.1)であった;10年以上の使用者群において、累積使用時間100時間毎または使用年数1年毎に統合オッズ比有意な上昇を示した、などの所見が得られたと報告している(Journal of Oncology (2011)掲載のプール分析論文内容に新たに使用頭側の分析を追加したもの)。次に今回新たに追加した分析(対象者の頭頚部X線検査履歴、第一度近親者がん罹患歴の影響分析)の結果として、神経膠腫に関する第一度近親者の脳腫瘍罹患歴のオッズ比は3.4(95%信頼区間:2.1-5.5)、頭部のX線検査履歴のオッズ比は1.3(95%信頼区間:1.1-1.7)であった;無線電話使用とX線検査履歴・第一度近親者がん罹患歴との交絡は認められなかった、と報告している。

研究の目的(著者による)

悪性脳腫瘍携帯電話及びコードレス電話の使用との関連についての、Hardell他(2011) によるプール分析の概観を示す:焦点は神経膠腫側性である。更に、確立されたリスク要因の遺伝及び電離放射線、ならびにワイヤレス電話の使用との相互作用を評価した。

詳細情報

以下の研究が、1997-2003年の存命及び死去した全ての症例を含む、Hardell他(2011)プール分析に盛り込まれた:
1997-2000年の期間に関する最初の症例対照研究publications 9520 及び 9895 に、2000-2003年の期間に関する2つ目の研究は publications 12068 及び 12259 に、1997-2003年の期間の死亡した症例及び対照に関する3つ目の研究は publication 18358 に発表されている。

影響評価項目/リスク推定のタイプ

リスク推定のタイプ: (オッズ比(OR))

ばく露

ばく露評価

ばく露集団

グループ 説明
参照集団 1 非ばく露:携帯電話またはコードレス電話使用なし、または1年未満の使用
集団 2 携帯電話+コードレス電話使用、1-5年
集団 3 携帯電話+コードレス電話使用、5-10年
集団 4 携帯電話+コードレス電話使用、 > 10年
集団 5 携帯電話+コードレス電話使用、合計、 > 1年
集団 6 携帯電話使用、1-5年
集団 7 携帯電話使用、5-10年
集団 8 携帯電話使用、 > 10年
集団 9 携帯電話使用、合計、 > 1年
集団 10 コードレス電話使用、1-5年
集団 11 コードレス電話使用、5-10年
集団 12 コードレス電話使用、 > 10年
集団 13 コードレス電話使用、合計、 > 1年
集団 14 携帯電話+コードレス電話使用、第1三分位値: 1-91時間
集団 15 携帯電話+コードレス電話使用、第2三分位値: 92-426時間
集団 16 携帯電話+コードレス電話使用、第3三分位値: > 426時間
集団 17 携帯電話+コードレス電話使用、累積使用100時間当たり
集団 18 携帯電話+コードレス電話使用、使用期間1年当たり
集団 19 携帯電話使用、第1三分位値: 1-36時間
集団 20 携帯電話使用、第2三分位値: 37-183時間
集団 21 携帯電話使用、第3三分位値: > 183時間
集団 22 携帯電話使用、累積使用100時間当たり
集団 23 携帯電話使用、使用期間1年当たり
集団 24 コードレス電話使用、第1三分位値: 1-122時間
集団 25 コードレス電話使用、第2三分位値: 123-456時間
集団 26 コードレス電話使用、第3三分位値: > 456時間
集団 27 コードレス電話使用、累積使用100時間当たり
集団 28 コードレス電話使用、使用期間1年当たり
集団 29 携帯電話+コードレス電話使用、 < 20歳で最初に使用
集団 30 携帯電話+コードレス電話使用、 20-49歳で最初に使用
集団 31 携帯電話+コードレス電話使用、 ≥ 50歳で最初に使用
集団 32 携帯電話使用、 < 20歳で最初に使用
集団 33 携帯電話使用、 20-49歳で最初に使用
集団 34 携帯電話使用、 ≥ 50歳で最初に使用
集団 35 コードレス電話使用、 < 20歳で最初に使用
集団 36 コードレス電話使用、 20-49歳で最初に使用
集団 37 コードレス電話使用、 ≥ 50歳で最初に使用

調査対象集団

症例集団

対照集団

調査規模

症例 対照
適格者 1,472 2,900
参加者 1,251 2,438
参加率 85 % 84 %
その他:

悪性脳腫瘍の症例1251人のうち1184人が神経膠腫であった

統計学的分析方法: (調整: )

結論(著者による)

潜伏期間が >10年のグループで、携帯電話の同側使用(OR 2.9;CI 1.8-4.7)及び対応するコードレス電話使用(OR 3.8;CI 1.8-8.1)について、神経膠腫リスク上昇が認められた。高いグレードの神経膠腫星状細胞腫)については、潜伏期間が >10年のグループで、携帯電話OR 3.9;CI 2.3-6.6)及びコードレス電話OR 5.5;CI 2.3-13)の同側使用についてのリスク上昇が認められた。頭部エックス線検査ならびに遺伝的リスク要因とワイヤレス電話使用との相互作用は認められなかった。

先行研究と同様に、著者らは、神経膠腫リスク潜伏期間ならびに携帯電話及びコードレス電話の累積使用時間に伴って上昇し、最初の使用が20歳以前の被験者で最も高かった、と結論付けた。

研究助成

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