[直流磁界はウニの細胞分裂時間および発生異常を引き起こす] med./bio.

Applied DC magnetic fields cause alterations in the time of cell divisions and developmental abnormalities in early sea urchin embryos

掲載誌: Bioelectromagnetics 1997; 18 (3): 255-263

<目的>発生過程がよく研究されているウニ卵を用いて、中程度の強度を持つ直流磁界の影響を調べることを目的とした。 <方法>ウニの卵に精子をかけて受精させた。受精率は95%以上であった。250mlビーカに入れた受精ウニ卵のサスペンションを2個の永久磁石の間に設置し、スターラーで撹拌しつつ発生させた。初期発生過程のウニは10mT-0.1Tの直流磁界に曝された状態であった。初期の2段階の細胞分割までの時間、孵化までの時間、外部原腸形成の発生率などを評価した。飼育温度は13-16℃であった。 <結果および結論>直流磁界は2種類のウニ有糸分裂の開始時期を遅らせた。磁界効果が最も顕著になる曝露時間は2種類のウニの間で異なった。30mTでLytechinus pictusの外部原腸形成の発生率対照群の8倍になった。この現象は15mTでは観測されず、またStrongylocentrotus purpuratusでも生じなかった。また、30mTでのLytechinus pictusに中には潰れた形状のものが見られた。スターラーで撹拌する操作は検出可能な変動磁界を発生しなかったので、本実験では観測された現象は直流磁界の影響であると考えられる。しかしながら、撹拌によりウニ受精卵が直流磁界内を移動する際に、細胞膜周辺のカルシウムイオン細胞液などが、誘導電界による影響を受けた可能性も考えられる。

ばく露