[低周波磁界ばく露評価における単純化した均一身体モデルを用いたドシメトリ問題] tech./dosim.

Dosimetric issues with simplified homogeneous body models in low frequency magnetic field exposure assessment

掲載誌: J Radiol Prot 2019; 39 (3): 794-808

溶接機器の通電導体の近傍での磁界ばく露の評価のための製品規格IEC 62822-3では、身体の異なる部位の代表として導電率が均一な回転円盤モデルを用いた単純な手順が提案されている。同規格では、そのような単純化モデルに基づき、最悪ケースの結合係数CCEi(I)、即ち単線及び二重線配置までの間隔dが異なる身体の部位に対する、電流と周波数で正規化した最大誘導電界強度、ならびに長方形のループ型電流経路が示されている。この研究は、頭部/前腕部の詳細な解剖学的モデルを用いた数値計算により取得したCCEi(I)の値を、前腕部までの間隔がそれぞれd = 30、50、100 mmの単線の通電導体について、IEC 62822-3でこれに相当する数値と比較した。その結果、同規格で示されているCCEi(I)は、実際のばく露を大幅に過小評価しているかも知れないことが明確にされた。組織導電率の平均値を用いた場合、観察された過小評価の範囲は最大で8.9 dB(係数2.79)で、組織導電率の最悪ケースの組合せでは更に高いかも知れない。この大幅な過小評価の理由は、幾何学形状の過剰な単純化、即ち円盤は現実的な頭部/前腕部の幾何学形状における誘導領域の解剖学的構造を反映していないこと、ならびに、均一な円盤モデルには異なる組織間の導電率のコントラストがないことである。このため、IEC 62822-3で示唆されている単純化された円盤モデルを用いたアプローチで取得した、ばく露評価の結果と溶接機器の構成部分への最小間隔は、慎重に検討すべきである、と著者らは結論付けている。

ばく露