[ヒトリンパ球のDNA、アポトーシスおよび酸化ストレスに対する異なる携帯電話のUMTS信号の影響] med./bio.

Effects of different mobile phone UMTS signals on DNA, apoptosis and oxidative stress in human lymphocytes

掲載誌: Environ Pollut 2020; 267: 115632

この研究は、第3世代(3G)携帯電話に用いられている周波数が異なる(1923、1947.47、1977 MHz)UMTS信号の遺伝毒性を比較・分析した。ヒトリンパ球を1時間または3時間ばく露し、活性酸素種ROS)の産生をイメージングフローサイトメトリで、DNA損傷をアルカリコメットアッセイで、TP53遺伝子突然変異をRSMアッセイで、前白血病融合遺伝子(PFG)をリアルタイム定量的ポリメラーゼ連鎖反応(RT-qPCR)で、アポトーシスフローサイトメトリで、それぞれ調べた。その結果、UMTS周波数にかかわらず、ROSアポトーシス、PFG、TP53遺伝子突然変異に対するRFばく露の影響は認められなかったが、バルクRNA発現の阻害が認められた。他方、比較的小さいが統計的に有意な、UMTS周波数に応じたDNA損傷誘導が認められ、この影響は1977.0 MHzで最大であった。これらの結果は、移動通信からのRFへの長期ばく露遺伝毒性作用を生じ、ヒト集団の健康に影響を及すのを避けるには、移動通信に用いられる個別の信号ごとに、個別にデザインされた実験で試験を実施することが望ましいという主張を支持するものである、と著者らは結論付けている。

ばく露