[ヒト造血幹細胞／前駆細胞からのB細胞の分化に対する電力周波数磁界ばく露の影響の評価] med./bio.

電力周波数磁界へのばく露と小児白血病との因果関係については、長い間議論されてきた。最も一般的なタイプの小児白血病は、初期分化過程におけるB細胞の異常増殖によって引き起こされる急性Bリンパ芽球性白血病である。この研究は、B細胞の初期分化に焦点を当て、電力周波数磁界ばく露の細胞への影響を評価した。ヒト造血幹細胞／前駆細胞（HSPC）のB細胞系統へのイン・ビトロ分化プロトコルを最適化した。追加の刺激に対するプロトコルの応答性と実験条件の均一性を検証した後、分化プロセスの35日間、ヒトHSPCを300 mTの50 Hz磁界に連続ばく露した。実験は盲検法で実施した。その結果、ばく露群における骨髄系またはリンパ系細胞の割合およびプロB細胞から未熟B細胞への分化の程度は、対照群と比較して有意な変化を示さなかった。更に、B細胞における組換え活性化遺伝子（RAG）1およびRAG2の発現レベルも対照群と同様であった。 これらの結果は、300 mTでの50 Hz磁界ばく露がHSPCからのヒトB細胞の初期分化に影響を及ぼさないことを示している、と著者らは結論付けている。