[人体頭部の解剖モデルにヘヤードライヤからの磁界によって誘導される電界および電流密度分布] tech./dosim.

Electric field and current density distributions induced in an anatomically-based model of the human head by magnetic fields from a hair dryer

掲載誌: Health Phys 1995; 68 (1): 71-79

<目的>ヘヤードライヤによって生じる3次元磁界により人体頭部内部に誘導される電界および電流密度の分布をインピーダンス法によって明らかにする。次に、計算された電界細胞熱雑音に基づいた最小検出可能電界極限値と比較する。<方法>らせん上のコイルを想定し、ビオサバールの方法によって円筒座標系で表したBφ,Bf,Bzを求める。積分にはシンプソンの公式を用いる。計算の妥当性を検査するために、0.32×0.71×0.05cmのホール効果素子を用いて測定を行う。計算にはインピーダンス法を用いるが、低周波につき、抵抗のみを考慮に入れる。1.31cmの立方体に頭と首の部分を分割すると、45×24×18個の分割数となり、これはパソコンで取り扱える。<結果>ヘヤードライヤからの磁界については理論値と計算値はかなり一致した。らせん上コイルの半径方向(温風の流れと直角方向)の磁界はらせん上コイルの軸と平行な方向の磁界と比較して極めて小さかった。インピーダンス法による解析法の妥当性を検証するために、多層円板上の生体モデルを取り上げ、誘導電流密度の計算値と解析解の比較をしたところ、両者はよく一致することが分かった。最悪状態を想定して、ドライヤの温風出口が頭部に接触している場合を検討した。この場合、頭頂部と温風出口の距離は7.2cmである。ドライヤと頭の接触点は18層の内の6番目に当たるが、結果は第3から15層までの3層毎に示されている(図6)。この図から脳の部では比較的一様な電流分布を示していることが分かった。内部電界は287μV/mにまで誘導されるが、熱雑音で仮定される電界強度よりもかなり小さい。