[低周波電界への人体ばく露における高解像度の臓器ドシメトリー] tech./dosim.

High-resolution organ dosimetry for human exposure to low-frequency electric fields

掲載誌: IEEE Transactions on Power Delivery 1998; 13 (2): 366-373

<目的>低周波電界による人体内誘導電界誘導電流の評価を行うこと。 <方法>用いた数値計算手法は、2段階の計算手法であり、まずはじめに、解像度の粗い人体モデルに対し、準静的FDTD(有限差分時間領域法)により、人体表面に誘起される電荷分布を計算し、つぎにこれらの電荷分布を用いて、解像度の細かい人体モデルに対し、SPFD法(スカラーポテンシャル有限差分法)により、人体内部の詳細な誘導電界誘導電流分布を計算する手法である。人体モデルは、MRI画像などに基づく解剖学的詳細モデルであり、3.6mmと7.2mmの2通りの解像度のものを構築した。数値計算におけるパラメータとして、1)各臓器の導電率(従来の文献からの引用のものとGabrielらの実測によるもの)、2)人体の接地の状態(非接地、靴を介した接地、接地)を考え、計算結果の比較を行った。電界条件は、人体の直立方向1方向の一様電界とし、60Hz、10kV/mを与えた。計算結果は、誘導電界平均、最大)、誘導電流平均、最大)で表し、人体高さ方向の各層ごとおよび各臓器ごとの評価を行った。 <結果>臓器の導電率の違いによる、誘導電流分布への影響はほとんど見られなかった(図4)。また、人体の接地の状態による違いについては、接地、靴を介した接地、非接地の順に各層における誘導電流密度が大きかった。各断面の全電流については、Kauneらによる実験結果との比較を行い、良い一致が得られた。各臓器ごとの検討では、血液における誘導電流密度が大きく、接地時最大149mA/㎡、平均9.3mA/㎡、非接地時最大32.7mA/㎡、平均3.8mA/㎡であった。