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無線周波電磁界 (10 MHz–300 GHz)の影響

(2016年4月時点の英文ウェブページの和訳です)

無線周波電磁界には電界成分と磁界成分があります(cf. 電磁界)。人および生物に生じ得る主な影響は熱作用です。熱作用は、自由に運動、回転できる双極子分子および電荷
担体(例えば、水、体液、組織水分中の水分子)の周期的運動を活発化させることにより引き起こされます。この過程で、電磁界成分が双極子分子の荷電基および電荷担体に及ぼす力の作用は、双極子分子
全体に作用し、電荷担体を回転させるトルクとなります。回転する分子および/または運動する他の原子電荷担体の間での摩擦により熱が発生します。

電磁界の周波数、強度、生体組織の組成(水、脂肪タンパク質および塩分)が、熱変換を介して生体組織吸収する無線周波電磁界のエネルギー量の決定に重要な役割を持ちます。電磁界の周波数が高く
なればなるほど、生体表面での吸収が強くなります。周波数が高くなるにつれて、電磁界が生体に侵入できる距離が短くなるのです。相対的な侵入深さは、生体組織内で電磁界強度がその入射強度の約37%>になる点と定義されています。絶対的侵入深さ、すなわち、電磁界が生体内へどの程度の深さまで侵入できるかも入射電磁界強度によって決まります。絶対的侵入深さは、一般的に、入射電磁界強度が高い
ほど大きくなります。

組織電気的特性(例えば、導電率など)は、組織の組成および水分子イオン、他の分子の分布によって決まります。これが、さまざまな組織における電磁界吸収の大きさに影響します。例えば、水分
または塩分の含有量が多いなどの理由で導電率が高い組織では、電磁界の相互作用が大きくなり、熱作用も大きくなります。したがって、組織への熱作用は身体表面から内部に向かって一定に変化するので
はなく、身体内には局所的に熱作用が大きい領域(いわゆるホットスポット)あるいは周辺組織に比べて熱作用が小さい領域もあります。例えば、骨や脂肪組織は水分含有量が少ないために他の組織に比べ
熱作用が小さくなります。侵入深さは、このような組織依存的な熱作用と関連します。侵入深さは、筋肉組織に比べ脳、脂肪、骨の組織で大きくなります(図参照)。その理由は、筋肉組織の方が電磁界
より多く吸収し、それを最も効率的に熱に変換するからです。電磁界平均的な侵入深さは、例えば、筋肉組織において低GHz帯(移動体通信および電子レンジで用いられる周波数範囲0.5 - 2.5 GHz)では
約1.5 - 0.5 cm、10 GHzを超えると約0.2 mmかそれ以下になります。
周波数および組織の種類に依存する生体組織内での無線周波電磁界の侵入深さ(対数目盛)
全身吸収においては、電磁界と身体との相互作用(いわゆるカップリング)の大きさは、すなわち、実際に身体に作用し、熱作用に寄与するする電磁界エネルギー量は、周波数依存的な>全身の共振に依存します。成人の場合、最大吸収が起きる共振の範囲は、身体の寸法と電磁界波長が同じオーダーの大きさとなる約30 MHzから100 MHzまで(図参照)になります(いわ
ゆるアンテナ効果は、身長が半波長に一致したときに起きます-例えば、身長が1.80 mの時、共振周波数は83.3 MHz、その波長は3.60 mです)。このような観点から、姿勢も重要な役割を持ちます(例えば
、立位、座位、両腕を広げるなど)。したがって、身長および姿勢が共振領域の無線周波電磁界の全身吸収に影響を及ぼします。このことから、体のサイズが小さい小児共振周波数は、成人のものより高
くなることが分かります(例えば、身長1.00 mの場合の最大吸収は150 MHzで起きます)。
周波数に依存する人体での無線周波電磁界の吸収
一方、およそ300 MHzおよびそれ以上の周波数の電磁界の発生源近くでの吸収は、だんだん身体の一部に限局されていきます(局所吸収)。それは、その周波数帯の波長が身体の寸法に比
べて徐々に小さくなることおよび身体への送信機(例えば携帯電話)の近接性(図 “無線周波電磁界吸収” and “頭部における局所吸収”をご参照下さい)の結果です。同じよう
な周波数の電磁界発生源が遠く離れた距離にある場合(遠方界条件:例えば、移動体通信のアンテナの事例;移動体通信の章参照)にはやはり、送信エネルギーのほんの一部が全身
吸収されます(全身吸収)。したがって、電磁界発生源が身体から遠く離れた位置にあれば、300 MHz以上であっても全身吸収が起きます。周波数が高くなるにつれて身体のほんの表層の組織のみが影響>を受けることは明らかです。
携帯電話使用中の頭部での局所吸収。SARの最大値は、頭部表層の耳周辺の黄色領域に見られます。頭内部に向かって吸収レベルは大きく減少していきます。黒色領域では、吸収レベルは表層>の100,000分の1より小さくなります。図からホットスポットおよび低吸収領域がよく分かります。(画像:IT'IS Foundation, ETH Zurichの厚意による)
体内電磁界吸収の測定および評価には、周波数範囲3 kHz - 10 GHzでは比吸収率SAR)が用いられます(cf. 基本制限; 局所SARおよび全身SARに関して: cf. 移動体通信の章の“携帯電話およびスマートホン” の節、ドイツにおけるばく露限度値(一般公衆)の章の“移動体通信システムのばく露限度値”の節)。