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睡眠

(2016年4月時点の英文ウェブページの和訳です)

ヒトの睡眠の特徴は、夜間にいくつかの周期で異なる睡眠段階が生じることであり、それらの段階は、例えばEEGなどで測定できます。睡眠研究では、生理学的データ(すなわちEEG)および睡眠質の関する
主観的報告(例えば、質問票)の両方を睡眠分析に用いますが、この2つは区別しなければなりません。この2つの方法のそれぞれから導かれた評価はかなり大きく乖離することがあります(SCENIHR, 2015, p.104)。

睡眠障害を訴える一部の人々は、それを電磁界と結びつけて考えます。2007年にNorbert Leitgeb教授を著者として、Federal Ministry for the Environment, Nature Conservation and Nuclear Safety (BMU)が公表したこの問題に関する研究(Leitgeb, 2007, p.3)で、過去数十年間、睡眠障害の発生は顕著に増加してい>ると述べられています。人口の20%以上が、時折の睡眠障害、例えば、入眠、睡眠の質、睡眠パターンまたは睡眠プロファイルの障害を報告しています。Leitgebに拠れば、睡眠障害を持つ人々の中でこれら
の障害の原因を送信機、とりわけ携帯電話基地局からの無線周波電磁界の影響と考える人が増加しています。特に1990年代末および2000年代初め、このような憶測が政治的な次元にまで広がり、ばく露限度
値低減および移動体通信の制限を求める請願とアピールにつながったことがありました(ドイツに限ったものです; フライブルグ・アピール2002セルラー無線請願1999セルラー無線請願2003一般的な電磁汚染最小化の解決策1999)(Leitgeb, 2007, p.3)。

移動体通信関連の無線周波電磁界睡眠に対する影響は、多数の研究で調べられています。全ての睡眠に関する>実験研究および睡眠に関する疫学研究の概観は、EMFポータルの携帯電話に関する研究の概観でご覧になれま>す。現存するデータを検討したさまざまな国際および国内の委員会は、睡眠EEGにおける影響の証拠に関して一致を見ていません。ただし、それらの委員会は健康に関する影響可能性に関しては一致してい>ます。

国際レベルでは、世界保健機関WHO)は、最新の短い声明(ファクトシート№193, 2014)において、睡眠に関する研究に関して、
無線周波電磁界による有害な健康影響の一貫した証拠はないことを認めました。国際非電離放射線防護委員会ICNIRP)は、GSM信号が睡眠EEGに微弱な影響を起こすかも知れない(いくつかの研究が、α波>バンドおよびβ波バンドの活動上昇を記述した)と述べてはいるものの、WHOの見解には同意しています(ICNIRP, 2009, p.257)。

欧州レベルでは、欧州連合の新興・新規同定された健康リスクについての科学委員会(SCENIHR, 2015, p.126-127)が同様に、睡眠EEGに対する僅かな影響に関する>いくつかの証拠を認めています。観察された影響に一貫性がないと見なされていますが、信号のタイプ(ばく露のタイプ、ばく露期間、パルス変調)に依存し、かつ異なる睡眠段階において異なるEEGバン>ドに影響するようにみえます。SCENIHRは、睡眠EEGへの影響は一貫していると主張する他の専門家達(e.g. スウェーデン放射線安全庁(SSM)、2016、p.8)には反論しています。

ドイツ放射線防護委員会(SSK, 2011, p.24 f)はドイツ移動体通信研究プログラムDMF)を参照して、睡眠EEGおよび睡眠質への移動体通信電磁界の影響を何も確認していません。しかしながら、悪影響を懸念することだけで睡眠障害を引き起こす可能性があるこ
とを指摘しています。SSKは、さらなる研究、特に年齢に関連した影響の可能性を調べる研究の必要を認めています。

これとは対照的に、スイス連邦環境省(FOEN, 2014, p.22 f)は、移動体通信ばく露による睡眠EEGの12-15 Hzバンド活動上昇を支持する十分な証拠を認めていますが、EEG活動への影響は僅かで、睡眠
へは影響しないと指摘しています。FOENは、研究結果の非一貫性の理由として考えられるものに、EEG反応における大きな個人差および信号>のタイプの違いで変わり得る影響や変調に特異的な影響を挙げ、さらなる研究を求めています。

EEG(睡眠EEGを含む)への影響に関する詳細情報は、“EEG/脳の活動“の章でご覧になれます。

総括すれば、移動体通信関連の無線周波電磁界睡眠EEGへの微弱な影響はあるかも知れない、と国際および国内の専門家委員会は見なしているとの結論が導かれます。しかし、睡眠質への影響およびそれ>に関連した健康影響に関する十分な証拠はありません。無線周波電磁界の影響に関するWHOからの新たな詳細にわたる見解は2016年に公表予定です(ファクトシート№193, 2014)。