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移動体通信

ラジオ、テレビ携帯電話サービスを送信するための無線周波電磁界は送信アンテナを用いて送られます。ドイツの移動体通信では、70,000ヵ所以上の基地局(2013年現在、資料元:ドイツ連邦ネットワーク規制庁)からなるネットワークが、携帯電話またはスマートフォンを使って事実上何処でも通話またはデータ送受信を可能にしています。しばしば、異なるネットワークオペレータの多様な基地局アンテナが一ヵ所に共同設置されています。

無線セル

あるアンテナサイトに存在するそれぞれのネットワークオペレータは、そのサイト周辺地域にそれぞれ独自の「無線セル」を構築します。隣接サイトの無線セルは重なり合うため、ユーザがあるセルから別のセルに移動しても(例:電車乗車中または走行中の自動車内で)、あるアンテナから次のアンテナに通話またはデータトラフィックの自動的なハンドオーバーがなされます。田園地域のセル半径は数キロメートルです。大都市圏ではもっと小さなセルの高密度ネットワークが作られています。基地局の送信出力は10 – 50 ワット、電波到達距離は数百メートルから30キロメートルです。移動体無線通信規格(GSM、UMTSまたはLTE, 歴史的レビュー)およびネットワークオペレータによって異なりますが、870 MHzから2690 MHzまでの周波数が用いられます。
携帯電話ネットワークの原理の模式図
画像:移動体通信情報センター(IZMF)

移動体通信アンテナの放射

アンテナからの距離とともに電磁界強度は低下します。電磁界強度の場合、一様な放射では、距離に反比例して減少します(例えば、10 mの距離では、アンテナ近くの電界強度の1/10になります)。電力密度の場合、距離の二乗に反比例して減少します(例えば、10 mの距離では、出力電力密度の1/10² = 1/100になります)。ラジオ局の多数のアンテナおよびテレビ局の送信機と異なり、携帯電話基地局アンテナは全方向へ等しく放射することはありません。電磁界はレフレクタを用いて、垂直方向に(無指向性アンテナの場合)または水平および垂直方向に(セクタアンテナの場合)、かなり集束されています。このため、一般的に採用されるセクタアンテナの場合、一つのメインビーム(長距離をカバーする)といくつかのサイドビーム(近距離をカバーする)のローブからなる放射パターンが生じます(図をご覧下さい)。したがって、同じ送信出力の場合、携帯電話基地局近辺での放射レベルは、ラジオまたはテレビの送信機近辺のレベルより著しく低くなります。
高いビルに設置された移動体通信用セクタアンテナの垂直方向の集束。アンテナ周辺地域の地表面での非一様な電磁界分布。電力密度の低い区域(左下)が見られる。単位はmW/m²。
画像: ドイツ・バイエルン州環境および消費者保護省の厚意による

携帯電話基地局および無線送信機の分布

携帯電話基地局ネットワークは、無線送信機ネットワークより遥かに高密度です。したがって携帯電話基地局は、ラジオやテレビの送信機より遥かに低い出力で稼働できるため、住宅地域内での安全な設置が可能になります。ドイツ連邦政府ネットワーク規制庁のウェブサイト上で、認可対象となる全ての送信機はEMFデータベースに登録され、その位置と仕様特性の情報を提供しています(, 図をご覧下さい)。
アーヘン中心部における無線送信機の設置場所
資料元:ドイツ連邦政府ネットワーク規制庁、地図データ:Google, GeoBasis-DE/BKG

携帯電話およびスマートフォン

携帯電話基地局は絶えず無線信号を放射しますが、個々の携帯電話またはスマートフォンは、通話、データ、ショートメッセージ(SMS)を送信する時に無線信号を放射します。それに加えて、例えば、ドライブ中に無線セルが変わり、機器が新しい基地局と交信する場合などに、短い信号が送信されます。通話中でもなく、かつデータトラフィックもない時、すなわち待機モード時、電源の入った携帯電話は最寄りの基地局から継続的に制御信号を受信し、携帯電話側からはその位置を知らせる短いビーコン信号を数分毎に送信します。通話中、呼設定中(この時、最大送信出力!)、またはデータトラフィック転送時、所有する携帯電話は、日常環境中で人がばく露する最大の無線周波電磁界発生源となります。環境中のその他の全ての無線周波発生源の放射電磁界は、個人ばく露にほとんど寄与しません。その理由は、携帯電話は確かに送信アンテナより遥かに低い送信出力ではあるものの、
身体との距離が遥かに短いからです(特に、通話中の頭部との距離)。さらに言えば、基地局電磁界へのばく露は距離があるために全身一様となりますが、携帯電話またはスマートフォンは頭部または身体の他の部位に限局したばく露を引き起こします(図をご覧下さい)。携帯電話の送信出力は、電話機と基地局の接続品質によって変動します。接続品質が低い場合(例:自動車の金属製の遮蔽箱の中)、送信出力を上げるよう調節されます。今日、携帯電話またはスマートフォンは、世界的なGSM、UMTS(またはCDMA-2000)、およびLTE 規格の下で稼働しています。送信出力は、GSM 900ネットワークではピークレベルが2ワットGSM 1800ネットワークではピークレベルが1ワットです。出力自動制御により、音声通話中の平均値はこれらピーク値を十分に下回り、それぞれ250 mWおよび125 mWです(資料元:ドイツ連邦環境省(p. 4))。UMTS モード携帯電話は定常的に最大平均出力125 mWで送信します。しかし、この携帯電話はさらに優れた出力制御によって、GSM携帯電話より一層効率的に出力を低下させます(資料元:ドイツ連邦ネットワーク規制庁)。

携帯電話またはスマートフォンの放射電磁界により生じる人体の組織での吸収エネルギーを明らかにするため、比吸収率SAR)を用います。人体の組織において、エネルギーはほとんど熱に変換されます。したがって、SARはキログラム毎ワット(W/kg)で表わされ、対応する測定またはシミュレーションでのばく露時間6分間で平均されます。このばく露時間内に、エネルギー入射と組織での熱放散の間の平衡状態に達します。標準化されたSAR計算法を用い、異なる組織質量で平均することによって、全身ばく露と身体の局所的ばく露(例えば、10 g平均SARの事例では眼球のみのばく露)を分け取り扱います。携帯電話またはスマートフォンは通常、身体に近づけて使用されるため、対応する機器の技術情報において、一般的には「頭部」使用シナリオと「身体装着」使用シナリオを区別します。

携帯電話基地局携帯電話、およびスマートフォンの放射電磁界強度に関する情報はEMFポータル移動体通信ばく露発生源データベースで提供されています。携帯電話のSARに関する詳細情報および多くの市販携帯電話のSAR値の現時点での一覧表については、
ドイツ連邦放射線防護庁を参照して下さい。
携帯電話で通話中の頭部のばく露。最も高い値は頭部外層で耳周囲の明色領域に生じる。強度は内部に向かって大きく低下する。黒色領域での強度は外層の100,000分の1の低さである。
画像: IT'IS Foundation、チューリッヒ工科大学の厚意によ