研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[成人の携帯電話使用と神経膠腫のリスク:症例対照研究] epidem.

Mobile phone use and risk of glioma in adults: case-control study

掲載誌: BMJ 2006; 332 (7546): 883-887

この研究は、携帯電話使用と成人神経膠腫リスクとの関連を調査する目的で、英国の5つの地域で実施された人口ベース症例対照研究である。2000年12月1日から2004年2月29日までに神経膠腫診断された18〜69歳の症例966人と一般開業医リストから無作為に選ばれた1716人の対照が調査に含まれ、個人別にインタビュー調査が行われた。その結果、通常的電話使用者全体でのオッズ比は0.94(95 %信頼区間(CI)0.78 - 1.13)であった;神経膠腫リスクと「初めての使用からの経過期間」、「生涯の使用年数」、「累積通話回数」および「累積通話時間」との間に関連はなかった;腫瘍と同側での電話使用で有意な過剰リスク(1.24、1.02〜1.52)、反対側での使用での有意なリスク低下(0.75、0.61〜0.93)が並行してみられた、と報告している。

研究の目的(著者による)

この人口ベース症例対照研究は、携帯電話使用に関連した成人神経膠腫リスクを調査するため、英国の5つの地域において実施した。この研究はインターフォン研究の一部である。

詳細情報

携帯電話の定常的使用は、診断日の1年以上前に少なくとも6か月以上にわたって使用と定義した。

影響評価項目/リスク推定のタイプ

リスク推定のタイプ: (オッズ比(OR))

ばく露

ばく露評価

ばく露集団

グループ 説明
参照集団 1 使用歴なし、または診断の1年前に6か月未満
集団 2 定常的に使用
集団 3 最初の使用からの年数:1.5-4
集団 4 最初の使用からの年数:5-9
集団 5 最初の使用からの年数: ≥ 10
集団 6 生涯の使用年数:0.5-4
集団 7 生涯の使用年数:5-9
集団 8 生涯の使用年数:≥ 10
集団 9 累積使用時間:≤ 99
集団 10 累積使用時間:99 - ≤ 544
集団 11 累積使用時間:> 544
集団 12 累積通話件数:≤ 2071
集団 13 累積通話件数:2071 - ≤ 6909
集団 14 累積通話件数:> 6909
集団 15 ≥ 10年前の累積使用時間:0
集団 16 ≥ 10年前の累積使用時間:≤ 113
集団 17 ≥ 10年前の累積使用時間:> 113
集団 18 最初の使用時の都市部/農村部の比率:主に都市部
集団 19 最初の使用時の都市部/農村部の比率:主に農村部
集団 20 最初の使用時の都市部/農村部の比率:両方
集団 21 高グレードの腫瘍のある人々における使用頻度:非定常的
集団 22 高グレードの腫瘍のある人々における使用頻度:定常的
集団 23 低グレードの腫瘍のある人々における使用頻度:非定常的
集団 24 低グレードの腫瘍のある人々における使用頻度:定常的
集団 25 同側使用の頻度:なし/非定常的
集団 26 同側使用の頻度:定常的
集団 27 反対側使用の頻度:なし/非定常的
集団 28 反対側使用の頻度:定常的

調査対象集団

症例集団

対照集団

調査規模

症例 対照
参加者 966 1,716
参加率 51 % 45 %
統計学的分析方法: (調整: )

結論(著者による)

神経膠腫リスク携帯電話の使用との関連はなかった。同側での電話使用についてのリスク上昇、及び反対側での使用についてのリスク低下が認められ、これらは記憶想起バイアスによるものかも知れない。

研究の限界(著者による)

観察期間は僅か10年であった。

研究助成

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