[空間データの分析に用いられる距離およびリスク尺度:小児がんの研究] tech./dosim.

Distance and risk measures for the analysis of spatial data: a study of childhood cancers.

掲載誌: Soc Sci Med 1992; 34 (7): 769-777

【目的】例えば電波塔などのような点ばく露源がある場合、その周辺に発生した疾病がその点発生源に関連した空間的な集積(クラスター)であるか否かを検出するための統計的アプローチについて、サンフランシスコ市の小児がんデータ(1973-88)および市中心部南西に位置するマイクロ波タワーを例題に取り上げて検討した。小児がんデータは、21歳以下における白血病(51例)脳腫瘍(35例)リンパ腫(37例)である。【方法】検討したクラスタリングの尺度は、サンフランシスコ市内地図上のタワーからの距離、等電力密度により変形させた地図上の距離の2つの距離尺度、および相対リスク尺度の3つである。相対リスク尺度については、距離と相対リスク統計学的モデルに組み込込んで検討した。統計学的モデルは、タワーの電磁界小児がんリスク上昇とが関連するという仮説が成立する場合について、電磁界ばく露がある場合のがん発生率相対リスクを2-5と仮定)と過剰リスクが発生するエリア(タワーからの距離を半径とする円)、およびバックグラウンドのがん発生率から期待されるがん発生分布を求め、観察された分布と比較するものである。【結果】2つの距離尺度および相対リスク尺度のいずれで分析しても、主要な小児がんの発生パターンは点ばく露源との関連で見た場合、本質的にランダムであることが示された。【結論】これらの結果および提案した統計学的モデルは、空間的データにおける距離尺度およびリスク尺度の探索に利用できる。ばく露エリアが定義できる場合には、距離尺度およびリスク尺度の両手法は空間的クラスターの分析において同様の検出能力であることが示された。