リスク評価

(2016年3月時点の英文ウェブページの和訳です)

リスク評価は、あるハザードおよびそれに伴う害の出現確率を推定することを目的とした、リスクの同定、定量化、判定から成り立ちます。まず初めに、入手可能な研究結果およびばく露データを収集します。ある物質または物理的因子のハザードとしての潜在能力および量反応的な関連性、あるいは特定の人口集団におけるばく露に関するに判断基盤がこれらの文献データから構築されます。この評価過程において、将来の研究で探索すべき知識の欠落や研究テーマが同定されます。

世界保健機関WHOは、周波数範囲0 Hz – 300 GHz の電磁界へのばく露による健康影響の可能性を評価するために、国際電磁界プロジェクト“ を1996年に発足させました。このプロジェクトの主要目的は、電磁界ばく露ハザード可能性に関して、科学文献の評価、知識の欠落の同定と将来の研究プログラムの奨励、国際的に受け入れ可能な電磁界ばく露基準の開発支援、行政当局に向けたリスク管理に関する情報提供、各国の担当部局への助言です。国際非電離放射線防護委員会ICNIRPは、非電離放射線に関する国際的なレベルでのリスク評価を行います。ICNIRPは、WHOから公式に承認された非政府組織であり、独立した専門家で構成されています。
科学文献に基づき、ICNIRPは職業ばく露および一般公衆ばく露限度値ばく露制限)を確立するガイドラインを定期的に更新する作業を行います。このようなICNIRPガイドラインは多くの国際的推奨(例:EU理事会勧告1999/519/EC)および各国の法律(例:ドイツの26. BImSchV)の基盤となっています。

WHOの専門機関である国際がん研究機関IARCは、特にヒトに対する発がんリスクを評価します。以下の電磁界モノグラフを公表してきました。

これらの評価結果のどちらにおいても、IARCはEMFのがんリスクをカテゴリー2B(「ヒトに対する発がん性があるかも知れない」) へ分類しました。この分類において重要な決め手となったのは、無線周波領域での脳腫瘍超低周波領域での小児白血病に関する疫学研究の結果でした。

ドイツ連邦環境・自然保護・原子力安全省の独立的諮問機関であるドイツ放射線防護委員会は、ドイツにおけるリスク評価の任務を担っています。以下のような基準および推奨を決定しています。

ドイツ連邦放射線防護局(BfS)は、ドイツ移動体通信研究プログラム を調整、実施しました。このプログラムにおいて2002年から2008年までに、生物学疫学ドシメトリおよびリスクコミュニケーションの分野での研究プロジェクトが実施されました。BfSの最近の研究プロジェクトにおいて、 政策決定者および折衝担当者のためのマニュアルが開発されました。このマニュアルは、研究の結果またはメディアの報道レポートを吟味する公衆の能力を向上させること、関心を抱く素人とのコミュニケーションを手助けすることを目的としています。