[小型プローブを用いた60 Hz磁界によるラット内の誘導電界測定] tech./dosim.

Miniature-probe measurements of electric fields induced by 60 Hz magnetic fields in rats

掲載誌: Bioelectromagnetics 1996; 17 (3): 167-173

ELF磁界で生体内誘導電界値を提供する為に、被測定物にラットを使用してより実際的な測定を行っている。測定では60Hz磁界ラットに対してそれぞれ3方向から印加し、小さなプローブ電極ラット内部に挿入して各部の電界値を得ている。またこの測定値の妥当性を確かめる為に、ラットと同じ大きさの均質媒質の楕円体モデルによる計算値と比較検討している。結果として、測定値の殆どが計算値よりも小さく、またプローブを奥深く挿入するに従って不正確になっている。この違いの検証に、幾つかの仮説を立てて検討している。まずラット内部の腹膜や横隔膜による各組織の絶縁には一貫性が見られず、肺や腸内に含まれる空気はその中に食塩水を注入したが、測定値に大きな違いがなかった。次にプローブ挿入時の電極組織の間の導電率の差による誘導電界の歪みがあるかどうかの検討に、プローブをそのまま挿入した場合と(生体における導電率の平均値を持った)食塩水の注入プローブ挿入した場合とで調べたが違いはなかった。また、測定した誘導電界の予測している方向に対して垂直な成分が存在しているのかどうかを調べたが、その成分は予測している成分の15%以下であり、測定値と計算値との差を説明するには不十分であった。しかし腹膜や横隔膜は腹部の電界電流を絶縁したり、誘導される場の領域を小さくする傾向にあり、腹部などの小さい領域を持ったモデルによる計算値は測定値とよく一致している。また明らかではないが、電極付近の血液の導電率の差によって測定値と計算値との差を説明できるかもしれない。

ばく露