マイクロ波を照射された人の頭部における比吸収率(SAR)の有限時間差分領域(FDTD)シミュレーションは、今まで、頭部のみのモデルに対して実行されてきた。この理由は、頭部の平均SARに対する人体の影響は1GHz周辺の高周波数では無視することができると考えられていたからである。しかし、この意見は不適切な計算条件に基づいており、従って信頼できない。この論文では、マイクロ波を照射された成人の頭部のリアルな均質モデルにおけるSAR分布に対する人体の影響を再検討した。900MHzのE偏波マイクロ波を照射された頭部のみのモデルの眼球表面上のSARは、全身モデルのそれよりも31%小さく、1.5GHzでは43%大きかった。実際上は、900MHzでは頭頂から腹部までが、1.5GHzでは頭頂から胸部までが、全身と見なせるサイズである。H偏波の場合には、二つの周波数において胸部部分で十分ということが示唆されたので、先行研究で不明確であったH偏波における人体の影響は、E偏波の場合よりも当然小さいと思われる。
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