[低周波磁界への細胞培養のドジメトリ] tech./dosim.

Cell culture dosimetry for low-frequency magnetic fields

掲載誌: Bioelectromagnetics 1996; 17 (1): 48-57

<目的>細胞への曝露実験を行う培養ディッシュ中の誘導電流分布を解析的に知ること。<方法>著者らが従来より用いているインピーダンス 法に基づくスプレッドシートモデルを用いて誘導電流の2次元計算を行った。正方形の培養ディッシュを考え、細胞を100のスプレッドシートのユニットで表した。これらのユニットは、細胞膜細胞質および細胞外液をそれぞれ表し(すべて等方性媒質を仮定)、ユニット間の接続部は、ギャップジャンクションを表すものである。ギャップジャンクションの条件を変えて(ClosedギャップジャンクションとOpenギャップジャンクション)、ディッシュ中の誘導電流分布の計算を行った。尚、印加磁界は基本的にディッシュ面に垂直な方向とした。<結果>1)Closed Gap Junctionの仮定において、細胞濃度および細胞間結合の効果によるディッシュ中の誘導電流分布への影響を調べた。細胞間結合が強固でない場合、誘導電流細胞間を流れ、細胞は一様媒質中の絶縁物体としてふるまう。これに対し細胞間結合が強固な場合、細胞間に誘導電流は流れず、誘導電流分布は乱れ、ディッシュ中の細胞の配置に強く依存する。2)Open Gap Junctionの仮定において、ギャップジャンクションの抵抗値を変化させ、誘導電流分布を調べた。ギャップジャンクションの抵抗値を高く(5×10-7^Ωm)した場合、ディッシュ上の誘導電流分布は、スパイクを多く含むものとなり、スパイクが生じる位置は細胞膜の位置に一致した。これらの結果は、従来報告のある3次元インピーダンス法による計算結果と良く一致するものであった。

ばく露