[EMFばく露の健康影響] info

Health Effects of Exposure to EMF

2009

【目的】2007年3月21日付のSCENIHRを新しい情報で更新すること。リスク評価の質の向上のため、科学的証拠の評価の枠組みと指針を提供すること。1.更新内容:[RF電磁界]3つの独立した研究系統疫学動物実験、インビトロ実験)の証拠から、RF電磁界がヒトのがんを増加させる可能性はほぼない。しかし、がん潜伏期に比べ、携帯電話が普及してからの期間は短いため、長期ばく露がんに関してはさらに研究が必要である。がん以外の影響として、主観的症状とRFばく露との関連を科学的に裏付けた研究はないという結論に変化はない。電磁過敏症者はRF電磁界を検知できるという証拠は依然としてない。脳波、睡眠への影響は、健康との関係性が不確かで、メカニズムの説明もない。神経系に関する研究は、認知機能、感覚機能、構造安定性、細胞応答などへの影響自体を、または一貫した影響を示していない。生殖および発達、その他の健康影響についても新たな報告はない。リスク評価の観点からは、子供への影響の情報は限られていることが認められている。【IF電磁界】ある分野でのIF電磁界職業ばく露は公衆ばく露よりかなり高い。しかし健康リスクに関する研究は、前報以降ほとんど行われておらず、疫学研究もない。データが限定的でリスク評価はできない。セキュリティ、店舗、ある種の産業などの労働者においてIF電磁界職業ばく露の増加があるという観点から、この分野の研究にプライオリティを与えることは重要である。【ELF電界】新しい疫学研究および動物研究はほとんどなく、ELF電磁界はpossible carcinogenであり、小児白血病の増加を寄与するかもしれないという結論に変化はない。現時点では、この疫学的知見を説明するメカニズムはインビトロ研究から得られていない。ELF電磁界と自己申告症状との因果関係を裏付ける新たな研究はない。ELF電磁界ばく露アルツハイマー病を増加させる可能性を示唆する疫学研究が新たに報告されたが、さらなる研究が必要である。最近の動物実験で、磁束密度0.10-1.0mTで神経系への影響が示唆されたが、データに一貫性がなく、ヒトの健康影響に係わる明確な結論は得られていない。がん以外の疾病に関するインビトロ研究はほとんどない。特定の疾患を精査するために仮説に基づいたインビトロ研究が必要である。疫学研究でのμTレベルに比べ、インビボインビトロ研究はかなり高いばく露レベル(0.1mT以上)で影響を示していることに注意が必要である。【静的な界】前報以降、相当な数の研究が公表されてはいるものの、結論に変化はない。すなわち、静磁界リスク評価に必要なデータがない。主として、急性ばく露に対する感覚機能への影響が観察されている。しかし、数テスラまでの短期ばく露により受ける健康悪影響の一貫した証拠はない。【環境影響】RF、IF、ELFへの環境的ばく露によるリスクを評価するには現在のデータベースは不十分である。【研究についての勧告】知識の欠落している分野を同定し、その欠落を埋め合わせるよう勧告する。2.方法論的枠組み:次の3つの枠組みを提示する。EMF健康リスク評価に用いられるクライテリア、全体的評価への作業手順、ドシメトリばく露評価疫学・ボランティア研究・インビボ研究・インビトロ研究に関する特性と品質のクライテリア。

ばく露