[環境的正義: 高圧送電線のケースにおける正反対の調査結果] tech./dosim.

Environmental justice: a contrary finding for the case of high-voltage electric power transmission lines

掲載誌: J Expo Sci Environ Epidemiol 2010; 20 (3): 237-244

環境的正義とは、ある地理的な地域の広がりの中で、マイノリティそして/あるいは低所得層の居住者が、別の場所に住む人々よりも不釣合いに大きな割合で、環境有害物質に曝されていないかどうかを考慮することである。このような状況は、さまざまな要因に絡んで見出されてきた。例えば、空気汚染、有害廃棄物、水質、騒音、過密住宅、家屋の品質などである。この研究では、環境的正義のコンセプトが高圧送電線(HVTL)についても適用できるかを調べる。HVTL はそれが生み出す磁界ゆえに健康にとっての危険因子であり、また景観的にも好ましくない、そのように見なす向きがあるからである。我々はニューヨーク州における 345 kV 以上の HVTL をすべて地図に書き込んだ。それから、US国勢調査の社会人口学的および住居に関する特徴のデータを抽出・要約して近似のものを形成し、HVTL からの距離に基づく4つのカテゴリーに分類した。HTVL からほぼ600メートル内に住む人々は、そこから離れて、特に都会に住む人々よりも磁界ばく露されやすいのだが、我々の期待に反し、それらの人々は白人で、収入の比較的高い、学歴も高めの、自家の持ち主であった。このようなパターンの説明として考えられることは、優先道路によって生み出された広い空間への欲求、しばしば HVTL 近くに展開される新築家屋/分譲地への嗜好、なた、EMF が危険なものと見なされる以前に HVTL のそばに引っ越していたことなどであろう。この研究が示唆する所は、環境的正義がすべての環境的危険因子に適用されるわけではないということ、一般化には注意が必要だということである。加えるに、非常に大きな人口についての情報を要約することが、疫学研究においてはしばしば困難な課題となるが、その際に地理情報システムを活用する方法が有効であることをも示している。

ばく露