[ほ乳類の内分泌組織に対する電力周波数電界の直接影響] med./bio.

Direct power-frequency electric field effects on mammalian endocrine tissue

掲載誌: Environ Res 1987; 43 (1): 157-167

<目的>ほ乳類の体内組織に対する60Hz電界の直接影響を検討した例は殆どない. 本研究では60Hz電界を印加した際のラット副腎組織のステロイド分泌応答につ いて実験的考察を行う. <方法>体重100-400gの雄のラットから副腎組織を取り出し,約2x4mmの皮質の薄片 を用意し,それをポリプロピレンの板を貫通しているガラス製のパイプ内に置い た.このパイプはKHG溶液を循環させる過融解システムに設置され,36.5度の溶液 が1ml/分の割合で細胞片の上を流れるようになっている.上記のポリプロピレン 板に埋め込まれたアルミの平行平板に60Hz電圧を印加した.電界強度は最大で 1000kV/mである.KHG溶液内部の電界強度は計算により外部の8x10^-9倍になると 推定され,外部電界が1000kV/mの場合溶液の電界は8mV/mになっている. <結果および結論>電界はステロイド分泌活動には影響を及ぼさなかった.しかし ながら,ACTHの10mUに対する副腎皮質ホルモン応答は1000kV/mの電界を2時間か けると倍になった.10kV/mの電界では5.5-7時間の曝露により4倍に高められたが, 5及び100kV/mなどの電界の下では影響が見られなかった.また,1000kV/mを30分 間隔で入る切りすると,初期の応答には影響は生じないが,5.5-7時間の曝露後 の応答には2-3倍の増大が見られた.

ばく露