[電磁界(EMF)およびアデノシン受容体はヒト骨関節炎の滑膜線維芽細胞におけるプロスタグランジンE2およびサイトカインの放出を変化させる] med./bio.

Electromagnetic fields (EMFs) and adenosine receptors modulate prostaglandin E(2) and cytokine release in human osteoarthritic synovial fibroblasts

掲載誌: J Cell Physiol 2012; 227 (6): 2461-2469

【背景】滑膜線維芽細胞(SFs)は 、サイトカインおよび炎症脂質メディエータなど広範な炎症誘発性メディエータを分泌することで骨関節炎(OA)の発症の一因となる。これまでの研究で、電磁界(EMFs)は、軟骨変性の拡大を制限し、OAの炎症をコントロールする治療法としての可能性をもつかもしれないこと、およびそのEMFs作用はアデノシン経路を介するかもしれないことが示唆されている。【目的と方法】インターロイキン1β(IL- 1β)で治療されているOA 患者のSFs (OASFs)の炎症作用をEMFsが変化させるか否かを調べ、EMFsの作用の仲介にアデノシン受容体(ARs)が関与する可能性を調べること。EMFは、パルス幅1.3ms、繰り返し周波数75Hzのパルス入力電圧コイルから発生する磁界ピーク値1.5mT、電界ピーク値0.051mV/A。【結果】EMFsばく露はA2A およびA3ARsの選択的増加を誘導した。これらの増加はcAMPレベルの変化に関連していたので、ARsはEMFsばく露細胞においても機能的に活性化されていることが示唆された。選択的なA2A およびA3アデノシン作動薬および遮断薬の存在下で機能に関するデータをとって見ると、EMFsがプロスタグランジンE2(PGE2)および炎症誘発性サイトカインであるインターロイキン6(IL-6)およびインターロイキン8(IL-8)の放出を阻害し、抗炎症性のサイトカインであるインターロイキン10(IL-10)の放出を刺激することが示された。これらの影響には、EMF誘導性のA2A およびA3 ARsの亢進の仲介があるように見える。マトリクス分解酵素産生に対するEMFsおよびARsの影響はなかった。【結論】今回の研究では、EMFsがヒトOASFsにおいて抗炎症性作用を示すこと、このようなEMF誘導性の作用の一部はアデノシン経路、特にA2A およびA3 ARの活性化により仲介されていることを示した。全体的には、これらの結果は関節疾患炎症のコントロールに対して新しい臨床上の展望を開く。

ばく露

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