[強磁界ばく露中のラットの頭部の傾き] med./bio.

Head tilt in rats during exposure to a high magnetic field

掲載誌: Physiol Behav 2011; 105 (2): 388-393

【背景】高い強度の静磁界ばく露している最中に、ヒトは目眩、仮現運動、吐き気など前庭器官系の症状を報告している。げっ歯類においても、7テスラおよびそれ以上の磁界ばく露した後、自発的旋回運動、前庭神経核の活性化など前庭器官系の混乱の徴候、および条件付け味覚嫌悪反応(CTA)の獲得を示す。【目的】超伝導磁石の強磁界への急性ばく露の影響として、ラットの頭部のポジションの取り方に変化が見られるかも知れないという仮説を検証する。【方法と結果】くびき状の拘束管(頭頚部の動きは自由)を用いた場合、14.1Tの静磁界ばく露中にラットの頭部は直ちに、持続的な偏ったポジションを取った。頭部の傾きの方向は、磁界(B)中に置かれたラットの向きに依存し、頭部が上向き(鼻がB+の方向)の場合は右方向に傾き、頭部が下向き(鼻がB-の方向)の場合は左方向に傾くことが示された。静磁界ばく露中の頭部の傾きの方向は、ばく露直後の旋回運動(前回実験で観察したもの)の方向とは反対であった。前回実験で使用した拘束管(頭部の動きまで拘束)でばく露した場合に比べ、くびき状の拘束管(頭頚部の動きは自由)でばく露した場合の方が旋回運動は有意に顕著であった。しかし、CTAの大きさまたは消失速度にはほとんど差がなかった。【結論】持続的な頭部ポジションの偏りは一様な静磁界の中でラットが動かない時に見られたので、静磁界中での動きや急峻な傾斜磁界へのばく露がなくても見かけ上の前庭頚反射は引き起こされた。

ばく露