著者は、Juutilainenらによるレビュー(本誌32巻、pp.511-534;2011)は包括的で良くまとめられ、科学的に妥当なクライテリアを採用していることを評価しながらも、Juutilainenらが「パルス変調された無線周波電磁界はヒトの中枢神経系に特異的な影響(特に脳電図と脳血流の変化)があるかも知れない」との所見を結論で述べたことについて反論している。これは、特定の科学的仮説に基づいた研究であるという明白な釈明なく今後も研究が行われることを意味しており、当惑すると述べている。著者は、脳電図への影響に関する実験では、パルス変調信号発生源および記録装置に付随する非線形性の影響を排除する困難さ、脳電図測定リード線、測定電極が測定結果に与える影響などこれまでの実験手技上の問題点があると指摘している。また、脳組織、特に単一細胞レベルでの変調波の復調については、もしそのような信号があったとしても140-160 dB以上減衰させられるため、検出レベルの復調信号が測定されるとは考えられないと述べている。最後に著者は、「Bawinら[Bawin et al., 1973, 1975]が、哺乳類で見られた行動学的影響と生化学の相関を実証しようと試みてから36年が経過したが、脳に対するRF変調波の影響のメカニズムの理解は未だ追求が続いている。単発的、奇妙な、説明のつかない実験データが増え続けている。学界は、メカニズムに関して焦点を鮮明にし、現象論ではなく、文献を理解する時がきている」と述べている。
このウェブサイトはクッキー(Cookies)を使って、最善のブラウジングエクスペリエンスを提供しています。あなたがこのウェブサイトを継続して使用することで、私たちがクッキーを使用することを許可することになります。