[基本制限と比較した業務用及び家庭用IH調理器への人体のばく露] tech./dosim.

Exposure of the human body to professional and domestic induction cooktops compared to the basic restrictions

掲載誌: Bioelectromagnetics 2012; 33 (8): 695-705

この研究は、IH調理器(業務用13台と家庭用3台)の磁界測定を実施し、その実測値から調理器前方の磁界分布をモデル化し、その分布に基づいて人体モデルの体内誘導電流密度を数値計算している。国際電気標準会議(standard IEC 62233:測定法に関する基準)の指定する距離(台の端から30 cm)と台の端(0 cm)の横断面内での磁界強度の最大値を測定した結果、30cmでは、測定した機器の大半は1998ICNIRPガイドラインの公衆ばく露参考レベルを満たしているが、その距離より近づいた場合、大多数の機器はその値を超過し、職業ばく露参考レベルさえも上回るものがある、と報告している。次に、体内電流密度ドシメトリには、30cmの位置で公衆参考レベル6.25 μTとなるような磁界分布モデル(測定法の基準を満たす範囲の外部磁界として設定)を適用した結果、使用者の身体組織における誘導電流最大値は、調理器直近では公衆ばく露基本制限を大きく上回り、職業ばく露基本制限に達する:幼児の脳のばく露は、公衆ばく露基本制限と同程度になる:ワーストケースでは、電流密度は1998 ICNIRP基本制限を最大で24 dB(または16倍)超過、幼児の脳では6 dB(または2倍)の超過が起きる可能性がある:胎児中枢神経系組織ばく露は、母親が職業ばく露参考レベルばく露を受けている場合、公衆ばく露基本制限を超過する可能性がある、などの所見を報告している。この研究は、あくまでも1998年のICNIRPガイドラインの体系の中で、IEC 62233を満たすIH調理器発生磁界基本制限(体内誘導電流密度)の関係に矛盾があることを指摘することを目的としており、この問題を2010年のガイドラインについても検討の必要があることを述べている。

ばく露