[ソビエト及びロシアでの公衆に対する無線周波基準の科学的根拠] misc.

Scientific basis for the Soviet and Russian radiofrequency standards for the general public

掲載誌: Bioelectromagnetics 2012; 33 (8): 623-633

この論文は、ソビエト時代の高周波電磁界ばく露制限基準およびロシアの2003年の携帯電話基準が米国その他の国の基準に比べ桁違いに低く設定されるに至った歴史的経緯を記述している。ソビエトおよびロシアの基準に携わった委員会は、特に免疫学的研究を重要で一貫した結果を示していると評価し、その結果に基づいてばく露制限値を設定した。ここでは、それらの研究8件(1971-1991年)の具体的な内容を詳細にレビューし、今も主要成果に位置づけられているDronov and Kiritseva [1971]をロシア語から英語に翻訳して付録として示した。これらソビエト時代の研究は、その後飛躍的に進歩した実験手法、研究品質への要求、進展をみた免疫系の理解がもたらさせる以前に行われたものであり、現代の査読付き学術誌は実験方法・結果・分析の詳細記述にもっと厳密性を要求していることを認めなければならない、としている。また、ソビエトおよびロシアと米国その他の国には基準設定のアプローチにも大きな違いがあり、後者は確立された有害影響を引き起こす最小限のばく露値に基づき設定されているのに対し、前者は全人口(老若男女全てを含む)にいかなる生物学的影響(健康影響に結びつくか否かに関係なく)も引き起こさないように設定されている。このような公衆衛生学的アプローチの考え方についても考察している。

ばく露