[3テスラのMRIスキャナ近傍での現実的な動作中の誘導電界の計算ドシメトリ] tech./dosim.

Computational dosimetry of induced electric fields during realistic movements in the vicinity of a 3 T MRI scanner

掲載誌: Phys Med Biol 2013; 58 (8): 2625-2640

この研究は、MRI装置スキャナから発生する静磁界の空間分布(MRI近傍)内で、医療スタッフが実際にとる動きに基づいて、その時に体内に誘導電界を計算した。3 Tのスキャナ近傍での動きの軌跡に沿った磁界強度を、ボランティアの身体に装着したコイルセンサで測定した。それに基づいて作成された頭の動きおよびMRIスキャナ磁界分布の実際的モデルと高解像度数値計算用の5種類の解剖学的モデルを用いて、有限要素法により誘導電界を計算した。その結果、スキャナの頭部の位置関係に依らず、磁束密度の時間微分値(dB/dt)は頭部内誘導電界とほぼ直線的な比例関係にある;このことから、職業ばく露評価にdB/dtが利用できることが示された;この研究で考慮した動きの軌跡における誘導電界の空間最大値は、国際的ガイドラインの末梢神経系に対する基本制限にほぼ等しく、中枢神経系に対する基本制限を超過していた;電界の99パーセンタイル値は、空間最大値に比べ、ばく露基本制限の指標としてかなり低めである(空間最大値の約60-70%になる);それでも、MRI従事者が通常の業務中に出会うdB/dtでの誘導電界の99パーセンタイル値は中枢神経系基本制限を超過するであろう;動きに誘導された渦電流は、前庭器官電気的に刺激する大きさに達することが示された(強い静磁界中での動作時に報告されるめまい感覚の発生に関係していると思われる)、と報告している。

ばく露