[コメント:「静磁界中での身体の動きおよび1Hzを下回る時間変動磁界により誘導される電界へのばく露を制限するためのICNIRPガイドライン」について] comment

Comment on ICNIRP Guidelines for Limiting Exposure to Electric Fields Induced by Movement of the Human Body in a Static Magnetic Field and by Time-varying Magnetic Fields Below 1 Hz

掲載誌: Health Phys 2014; 107 (3): 261

このコメントは、ICNIRPの誘導電界ガイドライン(2014)において、めまいの防護の根拠として採用された論文(Gloverら:2007)の著者からのものである。以下、原文を抜粋する。
めまいの防護を目的としたガイドライン限度値は、全面的に我々の論文を根拠としているが、この論文はこの分野で事実上初めてのものであり、他の研究者による再現も行われていない。もちろん我々は我らのデータを固守するが、非常に小規模の研究であるにもかかわらず、ガイドラインの図1の線引きは、2つの周波数で1人の被験者から得た1点データの周辺になされた。これは、国際的ガイドラインの根拠として余りにも薄弱のように思える。
さらに重大な問題もある。我々が論文を執筆した時点では、優勢なメカニズムは誘導電流であると述べた。しかし、ICNIRPも新しいガイドラインで述べている通り、Robertsはこのメカニズムを疑問としている(Robertsら:2011)。決定的に重要なことは、誘導電流メカニズムは磁界の変化の絶対速度に依存するのに対し、このローレンツ力メカニズムは磁界の大きさと向きに依存することを、ICNIRPが十分に理解していなかったように見えることである。我々の実験では、被験者に強磁界中で頭を動かすように頼んだ:これにより電流誘導され、ローレンツ力が生まれであろう。したがって、我々の先のデータは2つのメカニズムと一貫性がある。
我々は、Robertsのローレンツ力メカニズムを裏付けるために新たな研究を行ってきた(Antunesら2012;Gloverら2014;Mianら2013)。さらに、これまでの研究で、神経興奮を引き起こすに十分な電流を頭部に誘導するには身体が小さすぎるにもかかわらず、小型のげっ歯類で観察されためまい様の影響(Houptら2010)が、このメカニズムで解釈される。
変化するローレンツ力の知覚作用が、磁界中の動きがめまいを引き起こす第一の理由であることは、今や事実らしく思われる。残念ながら、これは、他の限度値とかみ合わせ可能な、きちんとした、周波数依存性のある限度値に至っていない。現在の知識段階では、めまいの体験を制限する実際的方法は、限度値における多少の不連続を受け入れて、先の静磁界限度値(非管理環境2T、管理環境8T)を単純に当てはめることではないか、と提案する。

ばく露

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