研究のタイプ: レビュー/サーベイ論文

[電磁界と細胞] review

Electromagnetic fields and cells

掲載誌: J Cell Biochem 1993; 51 (4): 436-441

1.電磁界曝露により健康影響は? :疫学研究論文は色々な事が言われて いて殆ど一致していない。しかし、男性乳ガンの関連では、高いオッズ比が報告されている。動物全体を磁界に曝露してガンになるという報告はないが、In vivo実験では細胞成長促進オルニチンカルボキラーゼの増加、RNA転写の変化などの生物学的効果のあることが報告されている。しかし細胞がEMFと反応する(EMFを識別)機序はまだ分かっていない。一つの可能性としてストレスに対するのと類似の機序があるかもしれない。2.仮説細胞電磁界の接触面ー細胞表面:ELF電磁界が悪性腫瘍と関係するか否かの議論は一にかかって電磁界細胞とどう結びつくかの点の解明に係っている。正常な細胞分子レベルの相互作用における電圧の変動の方が外部から与えられる電磁界よりはるかに大きい。ELF電磁界は既知の物理学的機序、例えば、絶縁破壊とか分子移動によって作用するには弱すぎ、また熱効果によるものではない。正常細胞が本来、高い膜電位を持っているため、外部から加えられる10^-2-10^-7V/m位と計算される電位がどう作用するかという難題があるが、一つ考えられるは膜電位は定常的なものではなく、そのため膜チャンネル近傍の電位変動が電位依存性チェンネルの感受性を変える可能性がある。このプロセスに関係するのがCa++であることを提唱するが、その機序は不明なことが多い。作用機序に関する議論はともかく、Ca++流出入に影響があれば、細胞内情報伝達系に変化の現れる可能性が考えられ、更にある種の遺伝子を活性化することも考えられる(良く書かれている)。

ばく露