この研究は、治療抵抗性うつ病(TRD)の効果的治療法として注目されている脳梁下部帯状回(SUG)への深部脳刺激(DBS)の神経生理学的メカニズムを突きとめるため、SUGにDBS装置を植え込んだTRD患者(n=20)で実験を行った。患者は、3通りのEEG記録セッション(DBSをON、ONまたはOFFの無作為割り当て、OFF条件とする)に参加した。それぞれのセッションにおいて、患者はN-back作業記憶タスクを行った。EEG記録が確実に行えた14人のデータを解析し、前頭野のガンマ波(30-50 Hz)およびガンマ波とシータ波(4-7Hz)のカップリングにおける変化を定量化して、それとうつ症状との相関を調べた。その結果、DBSのOFF条件に比べON条件で、N-backタスク中の前頭部EEG活動の抑制が見られた;ベータ波およびガンマ波の抑制が最も大きく、また1-backタスクより3-backタスク中での抑制の方が大きかった;3-backタスク中のガンマ波抑制はうつ症状の緩和と相関した;またOFF条件に比べON条件で、3-backタスク中にシータガンマカップリングが増加し、これもうつ症状の緩和と相関した、と報告している。
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