[熱損傷の閾値に関するより綿密な検討:ICNIRPタスクグループによるワークショップ報告] basics

A Closer Look at the Thresholds of Thermal Damage: Workshop Report by an ICNIRP Task Group

掲載誌: Health Phys 2016; 111 (3): 300-306

この論文は、無線周波電磁界(100 kHz to 300 GHz)への公衆および職業ばく露に関するICNIRPガイドライン(1998年)の更新プロセスの一環として、2015年5月にイスタンブールで開催された2日間のワークショップ「熱損傷閾値に関するより綿密な検討」についての報告である。ワークショップの目的は、1998年ガイドラインにおける熱的根拠の再検討、熱関連作用および熱損傷閾値に関するより詳細な情報提供の2つであった。全体的には、このガイドラインの改正に関連する多くの有用な情報が提供された。主な示唆は、「無線周波電磁界による熱発生の影響は、その他の発生源によるものと一致する同質ものであるので、これらの研究からの情報が高周波による熱発生に適用可能である」であった。別の観点で、「熱損傷にとっては、温度変化よりも組織の絶対温度の方が重要である」という結論が得られた。さらに討論において、「国際ガイドライン等で用いられている6分間平均全身ばく露に対して有効である。ただし、大きな不確かさを伴う」、「平均をとる時間は、局所ばく露については30分間、植え込み医用装置については1分未満が恐らく妥当であろう」、「高周波全身ばく露時間は、影響の閾値の決定においてしばしばクリティカルなパラメータである。しかし、これは、多くの要因に依存する体温調節進行の影響を受けるであろう」、「高周波の局所ばく露閾値は決定が難しい。その理由は、ばく露状況の起こり得る範囲および無線周波電磁界による局所的ホットスポットの発生確率にある」、などの示唆が得られたと報告している。

ばく露