この研究は、ヒト人工多能性幹細胞から分化させたヒト心筋細胞(hiPS-CMs)の電気的活動に対する電力周波磁界(MF:50Hz、400mT)の影響を評価した。これまでの低周波電界および磁界の心臓影響評価の実験には、種による心臓活動の違いが知られているにも拘わらず、非ヒトの実験動物および細胞が用いられてきた。この研究は、近年、種々の心臓刺激因子へのヒト心臓反応の評価への有用性が確認されるようになったhiPS-CMsをMFの影響研究に初めて用いた。多電極アレイ上に形成させた単層のhiPS-CMに、MFの短時間ばく露(9秒間:0mTから400mTへの立ち上げ時間3秒、400mTで3秒間、400mTから0mTへの立ち下げ時間3秒)を与え、その前後3分間、細胞外フィールド電位(FPs)を記録した。その結果、MFばく露の前および後において、hiPS-CMsのFP持続時間に有意差はなかった;このことは、今回のばく露条件ではMFはhiPS-CMsの電気的活動に影響を与えないことを示す、と報告している。
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