[ヒト神経芽腫細胞およびマウス海馬ニューロン細胞におけるAβ[アミロイドβ]プロセシングに対する1950 MHz無線周波電磁界の影響] med./bio.

Effects of 1950 MHz radiofrequency electromagnetic fields on Aβ processing in human neuroblastoma and mouse hippocampal neuronal cells

掲載誌: J Radiat Res 2018; 59 (1): 18-26

アルツハイマー病(AD)は、記憶およびその他の認知機能の進行性の喪失につながる神経変性疾患である。脳内のアミロイドβ(Aβ)タンパク質とそのプラークの蓄積は、ADのよく知られた病理学マーカーの一つである。ADのモデルとしてTg-5XFADマウスを用いた最近の研究では、携帯電話からの無線周波RF電磁界ばく露が脳内のAβプラークを減少させ、ADに対する有益な作用を示すことが報告されている。この研究は、1950 MHzのRF電磁界神経細胞におけるAβプロセシングに影響を及ぼすかどうかを調べた。HT22マウスの海馬ニューロン細胞およびSH-SY5Yヒト線維芽腫細胞をRF電磁界SAR 6 W/kg)に2時間/日、3日間ばく露し、Aβプロセシングに関連する重要な遺伝子のmRNAおよびタンパク質発現を分析した。その結果、RFばく露により、HT22マウスのAPP、BACE1、ADAM10およびPSEN1のmRNAのレベルが低下したが、SH-SY5Y細胞のAPPのmRNAのレベルは変化しなかった。APPおよびBACE1のタンパク質発現、ならびにAβペプチドの分泌には、RFばく露群と非ばく露対照群に有意差は認められなかった。この結果は、短期的なRFばく露には神経細胞のAβプロセシングに対する有意な生理学的影響はないかも知れないことを示唆している、と著者らは結論付けている。但し、この研究ではHT22およびSH-SY5Y細胞をRF電磁界に2時間/日、3日間ばく露しただけなので、1950 MHzのRF電磁界への長期間の連続ばく露がAβプロセシングにおいて生理学的変化を生じる可能性は排除できない、としている。

ばく露