[携帯電話固有の電磁界は無血清ヒト神経膠芽腫細胞において一過性のDNA損傷及びヌクレオチド除去修復を生じる] med./bio.

Mobile phone specific electromagnetic fields induce transient DNA damage and nucleotide excision repair in serum-deprived human glioblastoma cells

掲載誌: PLoS One 2018; 13 (4): e0193677

この研究は、携帯電話に用いられているUMTS信号が、10種類のヒト細胞株(脳、リンパ球線維芽細胞肝臓、口腔組織由来)のDNAの安定性に及ぼす影響を、使用者に関連する条件下(SAR 0.25-1.00 W/kg)で調べた。その結果、細胞血清培養した場合、単細胞ゲル電気泳動法(コメット・アッセイ)での損傷誘導の証拠は認められなかった。但し、無血清条件下で生育した場合、p53 proficientな神経膠芽腫細胞株(U87)には明確な陽性の影響が認められたが、p53 deficientな神経芽腫細胞(U251)には影響は認められなかった。更に、U87での損傷は急速に消失すること、ばく露ヌクレオチド除去修復(NER)を生じ、二本差切断(DSB)は生じないことが示された。NER誘導の観察は、プロテオーム分析による結果(NERに関与する複数のタンパク質がUMTSばく露後に上方制御された)によって支持された。加えて、γ-インターフェロン経路の活性化についての限定的な証拠が認められた。この知見は、UMTS信号は神経膠腫由来細胞において一過性の遺伝子不安定性を生じ、細胞防御系を活性化させることを示している、と著者らは結論付けている。

ばく露