[雄のアカゲザルにおけるNMDA受容体遺伝子発現及び視覚的ワーキングメモリに対する超低周波電磁界の影響] med./bio.

Effects of the Extremely Low Frequency Electromagnetic Fields on NMDA-Receptor Gene Expression and Visual Working Memory in Male Rhesus Macaques

掲載誌: Basic Clin Neurosci 2018; 9 (3): 167-176

この研究は、超低周波(ELF)磁界ばく露した雄のアカゲザルにおける、視覚的ワーキングメモリ(VWM)試験のスコア、ならびにホルモンゲノム及び脳の解剖学的変化を調べた。アカゲザル4匹を、1 Hz及び12 Hz、0.7 μTのELF磁界に4時間/日、連続30日間ばく露した。ばく露の前後に、VWM試験を実施した。大腿静脈から血液約10 mLを採取し、メラトニン濃度を評価した。血液リンパ球を用いて、ばく露の前後のN-メチル-D-アスパルテート(NMDA受容体遺伝子発現を評価した。磁気共鳴画像撮影(MRI)を用いて海馬のサイズの解剖学的変化を評価した。その結果、12 Hzばく露群ではVWM試験のスコアが有意に上昇し、メラトニン血漿レベルも上昇したが、これらの変数は1 Hzばく露群では変化しなかった。12 Hzばく露群ではNMDA受容体発現が増加した。どちらの群でも、海馬の体積の有意な増加は認められなかった。これらの結果は、ELF(12 Hz)は(VWMスコアの上昇で示された)記憶増強に対して有益かも知れないことを示しており、これはメラトニン血漿レベルの上昇またはNMDAグルタミン酸受容体発現の増加によるものかも知れない、と著者らは結論付けている。

ばく露