[β-ラパコンと超低周波電磁界の組合せは非相同末端結合の遺伝子を上方制御する] med./bio.

Extremely low frequency electromagnetic field in combination with β-Lapachone up-regulates the genes of non-homologous end joining

掲載誌: Egypt J Med Hum Genet 2017; 18 (4): 389-392

非相同末端結合(NHEJ)は、DNA二本差切断を除去する主な経路である。NHEJは化学療法誘発性の神経障害に対する抵抗因子と考えられている。β-ラパコンは抗腫瘍剤の一つで、抗神経炎症抵抗効果を有する。超低周波(< 300 Hz磁界はNHEJ遺伝子発現を低下させることが示されている。モルヒネはDNA修復に対する低減効果と関連しており、DNA損傷誘導する。この研究は、β-ラパコン、モルヒネ磁界の複合処理がNHEJ関連遺伝子(XRCC4、Ku70、Ku80、DNA-PKcs及びLIG4)の発現に及ぼす影響を調べた。SH-SY5Y細胞上皮神経芽細胞)を、β-ラパコン(2.0及び3.2 μM)、モルヒネ(5.0 μM)、磁界(50 Hz、0.50 mT、15分間オン/15分間オフ)の4つの組合せで処理し、XRCC4、Ku70、Ku80、DNA-PKcs及びLIG4のmRNAレベルを定量的リアルタイムPCRで評価した。実験を3回反復した。その結果、β-ラパコン単独、及びβ-ラパコン+モルヒネ処理群には、NHEJ関連遺伝子のmRNAレベルに有意な変化は認められなかった。β-ラパコン+磁界、及びβ-ラパコン+モルヒネ磁界処理群では、NHEJ関連遺伝子発現レベルが有意に増加した。多重線形回帰分析では、NHEJ関連遺伝子発現に対する磁界及びモルヒネの影響が、β-ラパコンの影響と対立することが示された。全体として、β-ラパコン、モルヒネ及び磁界の組合せは、NHEJ関連遺伝子発現の増加につながることが示された。この影響は、β-ラパコンに対するSH-SY5Y細胞の感受性の低下につながるかも知れず、臨床応用に有望な神経防護特性を改善させる可能性がある、と著者らは結論付けている。

ばく露