[1 GHz超の無線周波ばく露限度における平均化時間の熱的分析] tech./dosim.

Thermal Analysis of Averaging Times in Radio-frequency Exposure Limits Above 1 GHz

掲載誌: IEEE Access 2018; 6: 74536 - 74546

この論文は、熱的ハザードに対する防護のための無線周波RF電磁界ばく露限度における適切な「平均化時間」の選択についての問題を、3-10 GHz以上の周波数範囲に焦点を当てて検討している。分析は、Penneの生体熱方程式を用いて、組織の熱的モデルの動的特性の調査に基づいて実施した。断熱境界条件でのヒトの皮膚と類似した誘電特性及び熱的特性を有する一様な半空間からなるベースラインモデル;室内環境に適した対流境界条件での皮膚脂肪筋肉と類似した誘電特性及び熱的特性を有する階層化1次元(1D)モデル;解剖学的に詳細な画像ベースモデル「Taro」の頭部へのばく露、の3つのモデルを検討した。RFばく露は、周波数範囲が1-300 GHzの、2つの平面モデルに対する平面波放射、及び、頭部から1.5 cmに配置した共振ダイポールからの放射で構成された。モデルの動的特性を、ベースラインモデルの分析的解法、ならびに、階層化モデル及び頭部モデルの熱的応答の数値的解法で調べた。モデルのステップ応答(突発的なばく露に対する表面温度の上昇)から、各モデルのインパルス及び周波数応答を得た。この周波数領域では、熱的モデルは1 mHz以下のカットオフ(-3 dB応答)周波数を有する極端なローパス特性を示した。ミリ波放射(30-300 GHz)に対するインパルス応答はゼロタイムでの鋭いピークを示した。これは表面近傍での熱の短時間の蓄積によるもので、熱が組織のより深い層に伝導することで急激に消失する。純粋な表面加熱を仮定した、より単純化したモデルの分析の結果は、ミリ波についてより詳細に評価した結果と良く一致した。一連のパルス、及び、単回の最大フルエンスの「ビッグバン」パルス(6分間の平均化時間で許容可能なエネルギーが全て1つの短いパルスで投入される)に対するモデルの応答は、ミリ波周波数の短時間の高フルエンスのパルスへのばく露による、組織表面での過剰な過渡的温度上昇を生じる可能性を高める。そのようなばく露は、ある種の軍用兵器システムを除いて、現行の技術では生じないが、将来の高出力ミリ波技術からは生じるかも知れない。対照的に、1.9 GHzの通信用波形からのばく露のシミュレーションでは、極僅かな過渡的な温度変動が示された。これらの結果は全体として、現行のRFばく露限度における平均化時間としての6分間の選択を確認するものであるが、ミリ波周波数の短時間の高フルエンスのパルスに対する更なる限度の必要性を示唆している。この論文は熱的ハザードのみを扱っており、ばく露限度の改定に際しては、より広範囲の証拠も評価する必要がある、tp著者らは述べている。

ばく露