研究のタイプ: 疫学研究

[携帯電話が日本で最初に一般的になった時期から使用を開始した出生コホートにおける悪性脳腫瘍の発生率のシミュレーション] epidem.

Simulation of the incidence of malignant brain tumors in birth cohorts that started using mobile phones when they first became popular in Japan

掲載誌: Bioelectromagnetics 2019; 40 (3): 143-149

日本で携帯電話が普及し始めてから20年以上が経過した。この研究は、携帯電話が日本で最初に一般的になった時期から使用を開始したコホートにおいて、悪性脳腫瘍発生率をシミュレートすることを目的とした。1960-1989年に生まれた参加者の携帯電話の所有データを、インターネットに基づくアンケート調査で収集した。1990-2012年の携帯電話所有率の比率を出生コホート(1960年代、1970年代、1980年代)ごとに計算した。次に、所有率の比率を用いて、シミュレートしたリスク条件下で悪性脳腫瘍発生率を計算した。携帯電話の累積使用時間が>1640時間に対する相対リスクRR)を1.4、1日あたりの平均通話時間を15分間と設定した場合、2020年の悪性脳腫瘍発生率は、1960年代生まれのコホートでは人口10万人あたり5.48件、1970年代生まれのコホートでは3.16件、1980年代生まれのコホートでは2.29件であった。この研究でモデル化したシナリオの下では、2020年前後の悪性脳腫瘍発生率の上昇は認められなかった、と著者らは報告している。

ばく露