[マウスにおける体温に対する非熱的な無線周波の作用] med./bio.

Effect of non-thermal radiofrequency on body temperature in mice

掲載誌: Sci Rep 2020; 10: 5724

熱作用を生じる閾値より低いレベルの無線周波RF電磁界が、冷感への反応に似た生物学的影響を生じることが最近報告されていることから、この研究は、マウスの体温に対する無線周波RF電磁界非熱作用とそれに関連するメカニズムを調べた。3月齢のC57BL/6マウスを20 ± 5 V/m、0.16 ± 0.10 W/kgの900 MHzの連続的RF信号に、明るい時間帯に1時間×2回/日、7日間連続でばく露した。その結果、RFばく露期間と同期した体温変化のパターンが示された。ばく露群の明るい時間帯の平均体温は対照群よりも高かった。TRPM8[訳注:TRP(Transient Receptor Potential)チャネルは皮膚神経に存在して温度受容性を司るCa2+透過性の非選択性陽イオンチャネルで、活性化温度閾値が異なる複数のものがある。そのうちTRPM8の閾値は25-28℃で、冷感センサーとして動作する]遺伝子発現三叉神経節ではRFに影響されなかった。更に、TRPM8拮抗薬を注射したばく露群のマウスに温度低下は生じなかった。これは擬似ばく露群でも同様であった。これらの知見は、非熱レベルの900 MHzのRFばく露はマウスの体温に対して生理学的作用を生じることを示している、と著者らは報告している。但し、マウスの体温の変化においてRFが生じるメカニズムにおけるTRPM8受容体の関与については更なる探求が必要である、と述べている。

ばく露