静磁界は、複数のがん細胞の増殖に対する特異的な阻害効果を有することから、がん治療法の一つとしての潜在的可能性があるが、その根底にあるメカニズムは不明で、転移に対する作用についての研究は極少数しかない。この研究は、4T1乳がん細胞の増殖および移動に対する中程度の静磁界(~150 mT)の作用を調べた。その結果、静磁界処理は細胞増殖を加速するが、細胞の移動は阻害することが示された。更に、静磁界処理はテロメアの長さを短くし、テロメア活性を低下させ、がん特異的マーカーテロメラーゼ逆転写酵素(TERT)、TERTの転写抑制因子および有糸分裂細胞周期の正の調節因子の発現を阻害した。これらの結果は、静磁界は細胞の移動およびテロメアの機能の両方を抑制することを示しており、テロメラーゼのネットワークは静磁界に反応し、静磁界が介在するがん特異的作用に関与しているかも知れない、と著者らは結論付けている。
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