[満員の高速鉄道車両における電磁界ばく露の安全性評価] tech./dosim.

Safety Assessment of Electromagnetic Exposure in High-Speed Train Carriage with Full Passengers

掲載誌: Ann Work Expo Health 2020; 64 (8): 838-851

この研究は、満員時に電力ケーブルにばく露される高速鉄道車両内の電磁環境の安全性を評価した。COMSOL Multiphysicsソフトウェアを用いて、実際の車両、2組の電力ケーブルと84人の乗客の電磁気学的モデルを設定した。車両内ならびに乗客の体内および皮膚表面での誘導電界及び磁界の分布を調べた。その結果、窓での誘導電界および磁界は乗客よりも高く、誘導電界および磁界の最大値は、それぞれ2.0 × 10^5 mV/mおよび2627.10 µTであることが示された。乗客84人の脳組織での誘導電界および磁界の最大値は3列目に生じ、3列目の乗客の頭部の横断面での誘導電界および磁界は通路側よりも窓側で大きいことが示された。3列目では、窓の近くの2人の乗客の頭部における誘導電界および磁界の最大値は、それぞれ94.6 mV/m、90.9 µT、96.3 mV/m、90.4 µTであった。取得したデータは全て、国際非電離放射線防護委員会ICNIRP)の参考レベル以下で、車両が満員の場合の電力ケーブルから生じる電磁界ばく露は乗客の健康に対する脅威とはならないことが示された、と著者らは報告している。

ばく露