[100 kHzから100 MHzまでの接触電流によるヒトの手でのSARおよび温度上昇の評価] tech./dosim.

Evaluation of SAR and Temperature Rise in Human Hand due to Contact Current from 100 kHz to 100 MHz

掲載誌: IEEE Access 2020; 8: 200995-201004

無線周波RF電磁界ばく露に対する人体防護のための国際ガイドライン/規格では、特に熱作用に対する最も低い閾値を仮定することで限度値を策定しているが、接触電流による温度上昇を評価した計算研究は報告されていない。この論文は、100 kHz-100 MHzの周波数範囲での比吸収率SAR)および接触電流による温度上昇についての、ヒトの手の詳細な数値計算モデルを用いた計算ドシメトリを提示している。ドシメトリ研究ではしばしば、従来の4-Cole–Cole分散モデルから取得した組織の誘電パラメータが検討されてきたが、電気インピーダンスの計算値と実験結果との比較では、指の皮下脂肪の導電率は4-Cole–Cole分散モデルの値よりも高いはずであることが示唆されている。この著者らは、表皮、真皮および皮下組織の導電率の測定結果から推定される一連の組織誘電率を提案している。その結果、電気インピーダンスの計算値は測定値との良好な一致を示した。加えて、提案された組織誘電率を用いて得られたSARおよび温度上昇は、4-Cole–Cole分散モデルを用いて得られた値よりも低かった。よって、4-Cole–Cole分散モデルに基づいて得られたSARおよび温度上昇は誇張されているかもしれない、と著者らは述べている。また著者らは、ガイドライン/限度値レベルの接触電流による定常状態の温度上昇の最大値は2.5℃に相当することを見出した。これは温度上昇の最大許容値(5℃)を低減係数2で除した値である。

ばく露