[地磁気による遮へいはヒトの気管支上皮細胞のDNA修復プロセスを促進することで放射線耐性を高める] med./bio.

Geomagnetic Shielding Enhances Radiation Resistance by Promoting DNA Repair Process in Human Bronchial Epithelial Cells

掲載誌: Int J Mol Sci 2020; 21 (23): 9304

磁気または弱磁界による防御を得られない宇宙飛行士にとって、電離放射線は長期間の宇宙探査を行う際に常に脅威となるが、電離放射線への細胞の応答に対する弱磁界の潜在的な生物学的影響は十分には特徴付けられていない。この研究は、不死化ヒト気管支上皮細胞を地磁気(~50 μT)または弱磁界(<50 nT)培養条件下でエックス線照射した。その結果、コロニー形成分析では、弱磁界条件下でのエックス線照射後の細胞生存率有意な上昇が認められた。DNA二本鎖切断の動態をγH2AX[リン酸化ヒストン2AファミリーメンバーX:DNA二本鎖切断の指標]病巣形成および消失で調べたところ、弱磁界条件下では地磁気条件下と比較して、エックス線照射後の病巣陽性細胞がより速く減少すること、核あたりの病巣の平均個数が有意に減少することが示された。また、γH2AX/53BP1[腫瘍抑制p53結合タンパク質1]共局所化アッセイでは、弱磁界条件下での二本鎖切断の回復率の上方制御が認められた。これらの知見は、弱磁界放射線による細胞のDNA二本鎖切断の修復効率を強め、結果的に放射線の遺伝毒性作用を調節するかもしれないことを示す最初の証拠である、と著者らは結論付けている。

ばく露