[伝書鳩の行動および方向付けに対する3テスラの磁気共鳴画像撮影ばく露の影響] med./bio.

Effects of 3 Tesla magnetic resonance imaging exposure on the behavior and orientation of homing pigeons Columba livia domestica

掲載誌: PLoS One 2020; 15 (12): e0241280

この研究は、臨床用の磁気共鳴画像撮影(MRI)が地磁気を感知する動物の方向付けをかく乱するかどうかを、伝書鳩(Columba livia domestica)を用いて調べた。若齢のハト30羽を無作為に3群(各群n = 10)に割り付け、2群を麻酔し、3 TのMR装置内で15分間、定常磁界または変動磁界ばく露し、残り1群を擬似ばく露対照群とした。1日後、ハトを飼育地から15 km離れた未訪問地から放した。3週間後、ハトを飼育地から30 km離れた別の未訪問地から放した。視界から見えなくなるまでの時間(秒)、消失方向(角度)、開放から巣箱に辿り着くまでの時間(時間)を測定した。1回目の開放時、変動磁界ばく露群は、他の群と比較して、消失方向のばらつきが大きく(対照群との比較でp = 0.0003)、方向付けに対する障害が示唆された。他の測定値には群間で有意差は認められなかった。2回目の開放時には、群間で有意差は認められなかった。これらの結果は、臨床用MRIばく露は磁覚能力を有する動物種の方向付けに対して一過性の影響を生じるかもしれないことを示しており、仮にMRIが磁覚に固有のものではないプロセスをかく乱するならば、他の動物種や他の能力にも影響するかもしれない、と著者らは結論付けている。

ばく露