[間葉系幹細胞による磁界に誘発性のCa2+取り込みには細胞内Zn2+が介在し、Zn2+流入を伴う] med./bio.

Magnetic field-induced Ca2+ intake by mesenchymal stem cells is mediated by intracellular Zn2+ and accompanied by a Zn2+ influx

掲載誌: Biochimica et Biophysica Acta - Molecular Cell Research 2021; 1868 (9): 119062

磁界への慢性ばく露生物学的システムに対して様々な影響を及ぼすが、その決定的な相互作用の分子メカニズムについてはほとんど知られていない。最近報告された磁界ばく露の影響の一つは、シグナル伝達経路を通じたCa2+の細胞内濃度の上昇についてである。その他の主な影響には、酸化ストレスの増加、および幹細胞での上皮成長因子受容体(EGFR)活性化を通じた神経細胞マーカーの上方制御がある。文献で用いられている生物学的モデルの表現型の多様性が、磁界がトリガとなるカスケードの更なる特徴付けを困難にしている。この研究は、この分野における更なるメカニズム的データを明らかにするため、最も一般的に用いられている生物学的モデルと磁界パラメータを、最も一般的に報告されている磁界の影響と組み合わせた。磁界に対して敏感であると事前に定義された経路からの目印(EGFRおよびZn2+結合酵素)に基づき、骨髄由来間葉幹細胞に対する50 Hz磁界の影響における、異なる種類のチャネル(電位依存性Ca2+チャネル、N-メチル-D-アスパラギン酸NMDA受容体、一過性受容器電位(TRP)チャネル)の役割を調べた。その結果、Zn2+流入磁界によるCa2+の取り込みを伴い、これはTRPチャネルの阻害剤およびストア依存性Ca2+エントリー(SOCE)、ジフェニルボリン酸2-アミノエチル(2-APB)によってのみ減弱されることが認められた。細胞内Zn2+をキレート化すると、陽イオン流入は完全に消失した。これらの結果は、電位依存性Ca2+チャネルが磁界によるCa2+流入のゲートウェイであるということを否定し、Zn2+関連チャネルがこの分野での新たな焦点であることを示唆している、と著者らは結論付けている。

ばく露